2022年度当初予算の審査
3月15〜25日、予算特別委員会が開催され、当初予算の審査が行われました。
議員団からは、広瀬・松岡議員が委員として質疑を行いました。
2022年度予算について
・前年度比76億円増の1490億円を計上
市民の願いに背を向け、市駅前大型開発優先、さらなる民営化進める予算
新年度予算は2020年度に次ぐ大型の予算となっています。
その基本的な考え方として、行財政改革を通じた財源確保に取り組むとともに、臨時保育室の開設など子育て環境の充実や教室・体育館のエアコン整備など教育環境の充実に取り組むほか、魅力ある都市基盤の整備に向け、枚方市駅周辺の再整備や行政サービス再編に向けた取り組みなどを進めるとしています。 また、新型コロナウイルス感染症への対応や市制施行75周年記念事業についても予定しているとしています。
・増える都市基盤整備と新規事業…市民の暮らしを支援する予算なし
都市基盤整備費が総額143億4279万6千円に。
枚方市駅周辺再整備に関連して枚方市駅周辺地区第一種市街地再開発事業(B街区)の新築工事と外周道路整備工事、京阪本線連続立体交差事業、都市計画道路(牧野長尾線、長尾杉線、御殿山小倉線)に加えて、牧野高槻線(淀川渡河橋)の新設及び京都守口線の拡幅整備を促進するため、事業者である大阪府と連携し用地買収などを実施します。
懸案となっていた小中学校体育館空調設備の整備に向けた予算、小学校の水泳授業での民間施設の利用や民間指導員の派遣予算、高陵小学校と中宮北小学校の学校統合による「禁野小学校」の新校舎整備に向け、設計から工事までを一括して行う「設計施工一括型デザインビルド(DB)方式」で実施する予算が計上されています。
市制施行75周年を記念して、市の功労者と市政功労者を表彰する式典の開催と、2025年に開催される大阪・関西万博を見据えたにぎわい創出・魅力発信事業の予算が計上されています。
人件費は2億4000万円減少していますが、この間、コロナ対応で職員が大幅に不足していることが明らかになりました。保健師や保育士、看護師をはじめ、建築・設備・土木・電気技術職員など専門職が足りないことで事務に支障が生じています。その一方で委託費を含む物件費が29億円増加し、新自由主義市政の特徴を示しています。
(これに対する質疑は、広瀬・松岡議員が行いました。)
〇広瀬議員
・暮らし守る予算が不十分…子ども医療助成の充実など早期に
新年度予算は、1490億円の大規模な予算となっています。 広瀬議員は「このなかでコロナ禍から暮らしを守る予算と予算に占める割合、そのなかで市単独事業がどの程度あるのか」と質問。
財政課長は、「ワクチン接種に要する経費やPCR検査などの感染症対策に要する経費、生活困窮者に対する自立支援金など新型コロナウイルス感染症対応経費として39億1400万円(率にして約3%)を計上した。このうち市単独事業は、小中学校に係るICT等整備事業経費や衛生管理臨時事業(トイレ清掃)、在宅療養者緊急対応事業(配食サービス)などで10億800万円を計上している」と答えました。
広瀬議員は「市単独予算のほぼ半分はタブレットだ。他市では給食費や水道料金の負担軽減など続くコロナ禍の中で暮らし応援の施策に取り組まれている。枚方市は『強く優しい』自治体を実感させる取り組みに欠けている。 また、原油価格の高騰やこれに伴う原材料費の値上がりなどが市民生活に影響を与えるが、政府の対策予算の活用もされていない」と指摘し、子ども医療助成の拡大など早期に取組むよう求めました。
また、子ども食堂の補助増額なども求めました。
・3分の1が欠員 深刻な職員不足と入所方針の変更等で待機児が増大
…留守家庭児童会、「希望者全入」の方針を破棄
新型コロナの拡大であらためて留守家庭児童会の役割の大きさ、必要性が明らかとなりました。しかし、枚方市は直営職場の処遇改善を放置しながら半数の学校22校で放課後対策と合わせて民間委託を進める方針で、すでに2校で先行実施されています。
広瀬議員は、留守家庭児童会室の職員の確保数と不足数を問いました。
担当課長は、本年3月1日時点における職員確保数は127人で64人が不足していると答えました。
広瀬議員は「職員が3分の1も不足している。職責に対する処遇の低さが全国で課題となり、政府としてもこの改善に乗り出す努力が始まったところでだ。だからこそ、政府の支援策を活用した処遇改善に取組むべきではないのか」と問いました。
しかし、職員課長は他の職員との公平性などを理由に対応を見送ったと答えました。
広瀬議員は、他市では任期付き職員の処遇改善を実施していること、また、民間委託の従事者は処遇改善の対象としており、同一労働でありながら不公平であること、すでに民間の方が募集求人の時給単価が高くなっていると改善を求めました。
これまで枚方市の留守家庭児童会室は、1月末までに入室を申し込めば全員を入室させる「希望者全入」の方針をとってきました。ところが、新年度からの入室について教育委員会は募集要項を変更し、定員を超える場合は優先基準に基づき選考する方針に切り替えました。
広瀬議員が「希望者全入」方針を廃棄した経緯を問うと、担当課長は、施設の確保状況及び運営を担う職員の人員状況を踏まえ、決定しており、特に運営を担う職員の人員状況が厳しいことから、前年度比で4班減の96班体制とした。その中で、8校の児童会室において94人の待機となったと答えました。
広瀬議員は「議会に報告もなく『希望者全入方針』を破棄したことは大問題だ。今まで通っていた子たちも高学年だからとはみ出しをくらってる。子ども達はどんな思いをしているのか。リーダーになって頑張ろう、入学してくる弟や妹と一緒に通える、そういう思いを踏みにじり、待機を行政が作り出した。この責任をどうとるのか。保育園は通年のゼロをかかげているが、留守家庭は待機が生じても良いと市は判断したのか。これでは子育て応援にも、ジェンダー平等にも反する」と市の無責任な対応を厳しく批判しました。
・大阪万博はカジノと一体、なんでもかんでも万博に結びつけるな
市政施行75周年事業として34,773千円が計上され、2025年開催の大阪・関西万博を見据えた、にぎわい創出・魅力発信事業として取組むとされています。周年事業のうち、どの事業が万博に向けた事業なのかと広瀬議員が問うと「全て」だと担当課長が答えました。
広瀬議員は、カジノと一体の万博に何でもかんでも結び付けるべきではないと意見を述べました。
・ブラック委託を許すな
今年度の学校トイレの清掃委託で、受託事業者ではない事業所の職員が清掃業務に従事し、賃金の未払いが発生する事件が生じました。広瀬議員はこれを受け、新年度にどう改善をするのかと問いました。
担当課長は未払いは解決しており、労働者は受託事業者が派遣で確保したものだと説明しました。
広瀬議員は受託事業者が派遣により人材確保するのは問題ないとのことだが、調査したところ派遣業の登録がされておらず法に反していると指摘し、労働法制が守られているのか契約の規定に明記するとともに確認すべきと求めました。
担当課長は契約条項の充実を検討すると答えました。
・複雑な課題を抱える相談を断らないためには、CSW・市職員の体制充実と連携強化を
当初予算の概要に、重層的支援を充実するとして8億1443万2千円が計上されています。
広瀬議員は、取り組みの中身を問いました。
健康福祉総合相談担当課長は、「複雑化・複合化した課題を抱える方の相談に対し、市全体の相談支援機関や窓口で、世帯まるごとの課題を受け止める意識をもち『断らない包括的な支援体制』を構築することが必要となるため、今後は、健康福祉総合相談担当が中心となり、介護、障害、子ども、困窮の各分野の重層担当と、支援会議等を定期的に開催するなど、職員の意識を高めていく」と答えました。
さらに、広瀬議員は「複合的な課題を有する方や制度の狭間にいる方の相談に対応するCSW(コミュニティーソーシャルワーカー)(*)は、重層的支援体制整備の充実には欠かせない。予算の概要では、CSW 配置(多機関協働等)事業費は、何が改善・充実されるのか」と問い、健康福祉総務課長は「相談支援機能の強化を図るため、CSWをさらに1人増員し、現在の8人から9人体制とし、関係機関や地域との調整など、必要な支援に向けたコーディネートの充実を図る。また、新たな取り組みとして、例えば、引きこもりの方など、すぐに社会復帰を行うことに不安がある方に対しては、気軽にボランティア体験ができる場の提供などを行っていく」と答えました。
これに対し「世帯丸ごとの課題に応えるには、人員が不十分だ。CSWは従来から増員を求めてきたが、19中学校区に1名は配置すべきだ。また包括支援センター、社会福祉協議会と連携するとのことだが、生活保護だけでなく障害者、高齢者問題、児童福祉など総合的に対応できる専門の市職員を増員すべき」と要望。
(*)CSW…地域で困っている人を支援するために、 地域の人材や制度、サービス、住民の援助などを組み合わせたり、新しい仕組みづくりのための調整やコーディネートを行ったりする役割を担います。社会福祉協議会に所属しています。
・上下水道の福祉減免、恒常的に継続すべき
「新年度予算には、引き続き、水道料金、下水道料金の福祉減免に要する予算が計上されているが、この減免は、コロナ対策の一環として、時限的に継続をされたのか」と問いました。
健康福祉総務課長は、「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、社会経済活動の回復に向けた様々な支援策を実施している状況とあわせ、支援の必要性や他市状況なども踏まえ、引き続き、関係部署と連携し、社会情勢を注視しながら検討を行っていく」と答えました。
これに対し「新年度は廃止できる状況ではなく継続をされたが、今後は検討するとのことで、どうなるのかわからない。に重層的支援を強化しようと思えば、助けることが出来る施策がなければ話を聞いておしまいとなる。福祉減免を含め力になれる施策を充実すべき」と求めました。
・コロナ後遺症への支援強化、後遺症診療の実施 周知を(病院会計)
市立ひらかた病院の事業会計について質疑しました。
現在、一部の病棟を閉鎖しコロナ病床確保に努めているが、救急車の受入れに影響が生じていないのかと問いました。
医事課長は「市立ひらかた病院は『断らない医療』を標榜し、救急車からの応需率の目標を掲げ、スムーズな受け入れを行えるよう救急医療体制を取っている。
しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大した今年の1月から2月にかけては特に発熱者の救急患者が増加したことで、救急外来がひっ迫し、救急患者の受入れが困難となる状況が発生している」と答えました。
広瀬議員は「状況は理解するが、市民からは遠方の病院でしか受け入れてもらえなかった等の声も聞く、院内整備や医療従事者の人員体制も含め、市民が安心できる救急体制の確保に努めるように」と求めました。
次に「大阪府では療養終了後に後遺症の症状がある患者に対して診療を行う医療機関として『新型コロナウイルス後遺症の受診可能医療機関』としての指定を設けられている。こうした医療を提供する病院として、ひらかた病院も指定を受けているのか」と問いました。
医事課長は、「新型コロナウイルス感染症による治療や療養終了後に、呼吸苦や味覚・嗅覚の異常等、罹患後症状を訴える患者に対して受診ができる医療機関として令和3年7月8日より大阪府から指定を受け、息苦しさや倦怠感、気分の落ち込みといった患者さんの症状に応じて診療を行っている」と答えました。
・健康診査やリハビリ支援を
広瀬議員は「療養終了後も、さまざまな症状で苦しんでおられる方がいる。軽度の症状から、長期にわたるサポートを必要とする症状があると思われるが、罹患後も不安を抱えている市民が診察できる医療機関があると安心だ。しかし、大阪府のホームページ等に「新型コロナウイルス後遺症の受診可能医療機関」にひらかた病院の名前が掲載されていない。多くの市民がひらかた病院も罹患後、症状を訴える患者に対して診療を行う医療機関であることの周知を図っていただきたい。
神戸市では、後遺症の状況を調べるためアンケート調査を実施し、約半数が後遺症を訴えていることから、感染経験者向けに無料の健康診査やリハビリ指導を実施。後遺症の理解が広がるよう、周知・啓発にも力を入れるとともに、心のケアをと後遺症相談や診療を行う医療機関の拡充を進めるとされている。
ひらかた病院における対応も含めて、本市においても後遺症に悩まれている市民の方々に対し、こうした取り組みを進めていただきたい」と要望しました。
・特別養護老人ホーム待機解消へ事業者確保の努力を(介護保険会計)
介護保険特別会計について、特別養護老人ホームの待機状況と、新年度の整備に向けた取り組みを問いました。
担当課長は、「 令和3年3月末現在、市内の特別養護老人ホームの待機者は627人であり、前年度から170人減少した。 令和3年度から5年度までの3年間で、地域密着型特別養護老人ホームを3カ所整備する計画としており、今年度、すでに1カ所について、整備事業候補者の選定を完了している。令和4年度は、残る2カ所の整備に向けて、再度公募を行い、着実に整備を進めていく」と答えました。
広瀬議員は、 待機者数は減少しているものの、まだまだ多くの方が入所できない状態だ。出来るだけ早期に再度の募集を実施するとともに、介護人材確保へ市としても支援策を講じるべきと求めました。
・介護保険事業計画アンケート、難聴についての調査実施を
介護保険事業計画策定に向けたアンケート調査の中で認知症とも関連が深いとされている難聴についても調査できないのかと問いました。
担当課長は、「聞こえの問題については、全国共通の介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の中で、外出を控えている理由の選択肢の一つとして挙げられており、平成29年と令和元年の調査結果を比較すると、その割合は減少している。こうした調査項目については、引き続き注視していく」と答えました。
広瀬議員は、この機会に、難聴や補聴器装着の実態について調査を進め、補聴器購入費用の助成制度を創設するよう要望しました。
〇松岡議員
・駅前再整備のための行革優先でなく、必要な施策の充実を
枚方市は、行財政改革として市民サービスの削減を行っています。松岡議員は単なる削減許さず必要な事業の充実をと求めました。
・放送委託料は災害対策に
当初予算概要には、行財政改革の効果額一覧が掲載されています。
松岡議員は「一覧には『エフエムひらかた』解散に伴う返還金3900万円と、放送委託料見直しの5000万円が計上されている。以前から『エフエムひらかた』の役割だった災害時の情報伝達のために活用すべきと求めてきたが、どうなのか」と問い、担当課長は「返還金相当分については、安心安全施策に活用できるよう、基金に積立てた」と答弁。
松岡議員は、放送委託料についても、災害時の課題解消に活用するべきと求めました。
また、市の増収策について尋ねたところ、多くの波及効果が期待できるのは市駅前周辺再整備だとの答え。
松岡議員は、行革効果額として、がん対策事業費や私立保育等機能充実事業費も予算削減がされている。削減して良い内容なのかと尋ねました。 担当課長は「これまでの実績などを踏まえた見直し(削減)であり支障はない」と答えました。 松岡議員は、こうした事業は、コロナ禍であっても、市として利用を伸ばす必要があるものだと意見を述べました。
松岡議員は「商店街等活性化促進事業補助金は、商店街の活性化などを目的にした事業であるが、この間執行状況が低く、効果的な手法に変える必要がある。高崎市では、このコロナ禍に、予算総額3億円の店舗リニューアル事業を、一日で受け付けを終了させている。店舗をリフォームしたことで、客が増え、子どもが店をついでくれたと新聞でも紹介されている。 商店街そのものが減少しているなかで、商店街の活性化だけではなく、商店街を作っていくという両面の取組が必要だ」
と市に見解を求めましたが、担当課長は「市のリフォーム助成は、住宅の耐震化や若者世帯などの空き家活用を対象していて、商業支援の観点は引き続き研究する」と答えました。
松岡議員は「商店街支援策はコロナ前の5年平均でも予算消化率は7割程度に留まっている。茨木市でもリフォーム助成を行っていて実績がある制度だ。コロナ禍だからこそ必要な支援策の実施を」と求めました。
・市民会館…除去まで市民利用を、と求める
枚方市は、暫定活用として、4月1日から除却までの間、市民会館は、庁舎第3分館として使用するとしています。
「議員団では、除却まで市民の利用に供するべきと求めてきた。どんな検討をしたのか」と、経過について聞きました。
担当課長は「現在、ワクチン接種や保健所事務などに活用している。本庁舎で不足している会議室として使用できるよう庁舎として管理をしていく」と答えました。
庁舎であっても、市民に貸すことはできるのではないかと主張しましたが、「目的外使用という手続きもあるが、想定していない」との答えです。
松岡議員は「市民の活動を支えるのは、行政の役割だ。市民は納得できない。市民活動の保障を」と求めました。
・公立保育所の位置づけは防災対策の視点も必要
枚方市は、防災備蓄品として赤ちゃんの粉ミルクの大半を公立保育所で備蓄していますが、公立保育所は民営化で半減しています。
「民営化によって過去と比較すれば備蓄量は減少している。保育施設では、効率的にローリングストック方法(*)で備蓄をしていること、また、東日本大震災の経験など、できるだけ身近に手に入れることが可能な環境が望ましい。こうした備蓄環境の維持についてどう考えているのか」と問いました。
担当課長は「防災備蓄倉庫の備蓄も一定必要だ。期限切れとなる物を、過去にイベントで配布もしてきた。そもそも保育所で備蓄している粉ミルクは災害時には一時避難所に運ぶことを想定している」と答えます。
松岡議員は「大分で起きた地震災害では、想定外のいたるところが避難所 となっていた。
災害の大きさによっては、粉ミルクを避難所に届けられないことも想定される。防災対策の視点で公立保育所を位置づけることが必要だ」と求めました。
(*)少し多めに用意をして使いながら常に一定量を備蓄する方法
・保育所民営化・施設監査の徹底と保護者に監査内容の公表を
民営化で保育が変わるのではないかという保護者の声に対して、枚方市は監査が実施されるからと終始答えてきました。 松岡議員は、あらためて監査が適切に実施されているのか問いました。 担当課長は「社会福祉法人への一般監査は、3年に1回実施している。保育所などの施設については、概ね2年に1回実地監査(*)をしている」と答えました。
厚労省が示す監査実施要綱では、実地監査は一年に一回となっています。他市でも大半が一年に一回行っているのに、市の実地監査は不十分です。
松岡議員は、監査回数が要綱通りでないのは、問題だと改善を求めるとともに、監査項目はどのようになっているのかと問い、担当課長は「監査は保育所保育指針などに基づく監査をしている」と答弁。
施設毎に監査項目をホームページ等で表示している自治体もあるとして、まずは、監査項目を市民に分かりやすく表示するよう改善を求めました。
*事業が行われている場所に出張して実態を確認すること
・景観を損なわないよう地域の願いに応える公園整備を
新年度予算には、新名神高速道路に係る公園・緑地事業経費として1千万円が計上されました。
この予算は、南船橋地区と船橋本町地区の公園整備に係る設計委託料です。
松岡議員は、2カ所の公園に対する地域の要望にどう応えていくのか問いました。
担当課長は「南船橋地区については、地域と数回ワークショップなどを行ってきた。公園利用に関する看板の設置や植栽の場所、隣接する公園との一体利用などの要望を聞いており反映できるよう努める。船橋地区についても今後地域の意見を聞き進めていく」と答えました。
船橋本町地区の公園は、桜で有名であり多くの方が利用していて、桜がすべて伐採された時は批判がたくさん出ました。
松岡議員は、住民の声をしっかり聞くよう求めました。
また、この場所には換気塔が建つことから、公園全体の景観を損なわないよう一体的な整備が必要だと指摘しました。
続いて「新名神高速道路建設決定時には、船橋川公園と船橋川緑地が都市計画決定がされていた。残りの用地の公園・緑地は整備されるべきだが、どうされるのか」と問い、担当課長は「道路建設工法が変更になり用地買収も無くなったが、残りの公園・緑地整備については今後検討していく」と答えました。
松岡議員は、ネクスコともしっかり話をして残りの計画実施にむけて取り組むことを強く求めました。
・奨学金制度の実施を行い、青少年センターを情報発信中心地として位置付けよ
枚方公園青少年センターでは、青少年などを対象とした主催事業を開催するなど青少年活動の支援が行われてきましたが、コロナで中止となったことから、新年度の取組等について問いました。
担当課長は「令和2年度は多くの事業を中止し、執行率は11%。令和3年度は約83%を見込んでいる。コロナで青少年は、学校等の休業による生活リズムの乱れや、外出自粛により人と社会との繋がりが希薄化するとともに、直接のコミュニケーションを図る機会が減少するなど、身体面、精神面で大きな影響を受けている。新年度は、感染対策を講じて、事業を実施していきたい」と答えました。
松岡議員は、枚方でも民青同盟のみなさんがフードバンク事業を取り組んでいるが、リモート授業で友人ができない、アルバイトがなく生活が苦しいという声が多く寄せられている。行政は奨学金事業に取組むことも必要ではないのか。また、センターを青少年に向けた情報発信の中心としていくよう求めました。
・防災行政無線を受信する個別受信機の配布を
2月末日でエフエムひらかたが閉局となり、災害時の情報伝達ツールが一つなくなりました。今後は、スマホを使った情報伝達と防災行政無線がメインになります。
防災行政無線は聞こえない場所がまだあることから、この間どういった検討をしてきたのかと問いました。
担当課長は「防災アプリの導入で市の公式ラインに防災メニューを充実させた。スマホ等を持っていない方に対しては、個別受信機の配備と自動音声配信電話の導入を比較検討し、自動音声配信電話サービスを実施した」と答えました。
松岡議員は「個別受信機があれば、防災行政無線が聞こえない場所の課題や電話が不通となった時の問題も解消できる。FMの閉局によってこれまでと状況が変わっており個別受信機の実現を」と求めました。
・国や関係機関に対し、2割負担増の中止を求めよ(後期高齢者医療会計)
今年の10月から、後期高齢者医療・窓口負担額の2倍化が実施される予定です。
松岡議員は初めに、後期高齢者医療事業の事務経費・通信運搬費が6,812万8千円と、昨年の予算額より約2倍になっている理由について質問。
担当課長は「10月からの窓口負担2割の導入により、通常、毎年7月の年1回の保険証発行が、令和4年度は、7月と、9月の2回発行・送付されるため、通信運搬費が増加になった」「窓口負担の見直しにはシステム改修等が必要であり間に合わず、7月と9月に、全ての被保険者へ保険証を交付することに。9月の再交付時に、窓口負担の見直しに関するリーフレットの添付を予定している」と答えました。
そもそも、システム改修が理由で7月に間に合わないと、こんなおかしなことはありません。 また、10月から医療費窓口負担が2割となる方は、現役並み所得者以外の被保険者で、課税所得が28万円以上、かつ単身世帯で年収200万円以上の方で、枚方市の被保険者5万6520人のうち、約25%の方が対象者になると想定されています。もともと、後期高齢者医療被保険者の50%程度が、所得なし層ですので、所得のあるほとんどの方が2割負担となります。
年収200万円といっても社会保険料等の経費を引けば手元にはわずかしかありません。
現役世代の負担を軽くするとも言われていますが、削減される全体公費は、年1000億円と言われているのに対して、現役世代の負担軽減は、1人当たり月30円だけだと、新聞報道がありました。 国会の審議では、窓口負担が増えれば、収入が低い人を中心に受診控えが起き、病気の早期発見が難しくなると指摘もあります。
松岡議員は「公的責任で安心して医療を受けられる体制の拡充こそが必要であり、国や関係機関に対し、2割負担の中止を強く求めるべきだ」と主張しました。
・統一化を理由にした保険料引き上げや」減免廃止はやめよ(国保会計)
子どもが多い世帯ほど保険料負担が重くなる子どもの均等割り制度については、長年改善の声があがる中で、新年度より、国による未就学児童に限った均等割り軽減が新年度から実施されます。
これによって、市内では約1800人が対象となります。一方で、枚方市独自で実施してきた18歳までの児童扶養減免制度は、国の子ども均等割軽減実施によって、保険料統一化となる令和6年度までにはすべて廃止する方針です。
松岡議員は「枚方市は、令和4年度の保険料賦課割合について、応能割の所得割49.5%、応益割である均等割30.3%及び平等割20.2%と、応益割を高くした。今後さらに、応能割の率を下げて、応益割の率を高めていくことを示しており、子育て世帯にとっては、児童扶養減免の廃止と、応益割率が高くなったことでの負担も増える。令和4年度は低所得者層への市独自の激変緩和が講じられたが、低所得者への統一化の影響を少しでも緩和をするという点で言えば、引き下げるべきは応能割の率ではなくって、応益割の率ではないか」と見解を求めました。
担当課長は、府の広域化調整会議等において、令和6年度以降の保険料率の賦課統一を進めていると答えました。令和6年度の統一化に向け、標準保険料率を既に採用している自治体数は、令和3年度で、府下43市町村中、13市町村しか標準保険料率を採用していないということでした。
松岡議員は「結局保険料統一化を理由に、保険料の引き上げや、減免廃止などを進めるものの、大半が標準保険料を採用できていない。他市では大阪府に令和6年度の統一化はやめるよう求めている所もあり、市としてもはっきり統一化やめるよう大阪府に求めるべき」と指摘しました。
・工事に伴う影響解消に、市はあらゆる努力を行え(下水道)
シールドマシンの破損によって遅れていた、楠葉地域の雨水貯留管工事は、来年1月に工事を終える予定です。貯留管工事の遅れは、貯留管に接続する流入管工事にも影響が出ており、工期は来年3月までの予定です。
流入管工事は、地下をシールドマシンで掘る貯留管工事と違い、賑やかな楠葉中央交差点付近の道路の中央部分に穴を明けて行う工事で、工事現場の確保のために、歩道も約1m切下げられ、通行に影響が出ており、近隣商店では客が減り、家賃の支払いも苦しいと声があがっています。
松岡議員は「シールドマシン破損による工事の遅れについては、工事事業者から枚方市は遅延損害金を受け取るが、工事によって生業に影響がでている商店は、工期が伸びても我慢しなさいということか」と質しました。
担当課長は「ご迷惑をかけている。コロナで売上が減少しているとも考える。早期完成に取り組む」と答えました。
営業が厳しいところでは、工事期間中に、店舗がなくなってしまう恐れもあります。「市として工事に伴う影響の解消に、あらゆる努力を」と松岡議員は強く求めました。
2022年度当初予算に対する日本共産党議員団の討論
・大型開発推進で市民の願い置き去り
子ども医療助成の充実も高齢者支援の充実もない
一般会計は対前年度比76億円、5.4%増の1490億円と大規模な予算となった。しかし、市民に寄り添うやさしさと暮らしを守る力強い取り組みが欠落している。妊婦支援の充実、子ども医療助成の年齢拡充など当初予算に含めるべきだった。子ども医療助成は寝屋川市に続き交野市も10月から実施となり、中核市及び近隣市で出来ていないのは枚方のみだ。補正予算による増額を緊急に行うことを求める。
また、高齢者の暮らしを支える点でも移動や社会参加への支援もない。
・市政の主人公は市民だ
勝手な行政運営を行うな
枚方市駅周辺の再整備や行政サービス再編に向けた取り組み、留守家庭児童会の入室方針の変更、保育所の入所選考基準の変更など、市民説明も行わず行政の勝手都合で市政を運営している。歴代の市政の中で最も市民の声を聞かない市政になっている。以下問題点を指摘する。
(職員不足)
- 新型コロナ対応では、職員の不足状態が続く職場からも応援派遣が求められ市民サービスが後退している。保健所や技術職員や生活保護のケースワーカーなど必要な職員の確保や、保育や留守家庭児童会の人員不足の解消が必要だ。
(枚方市駅周辺再整備)
- B街区では住民の合意なく外周道路整備が予定され、行政サービスの再編では、保健所の移転や、小さすぎる駅前図書室など市民の願いにこたえられていない。
(行政改革)
- 市駅周辺再整備の財源づくりのために「行政改革」が進められ、計画にもなかった桜ケ丘北、阪保育所の民営化を推進している。
(市民活動を制約)
- 市民会館を閉鎖し、今後は庁舎として活用する。市が活用するなら市民利用を認めるべきだ。
(長期財政の見通し)
- 新たに示された「長期財政の見通し」は、枚方市駅周辺再整備を可能と判断させる数字が示された。納得できる説明を市民にすべきだ。
(保育所の待機児解消)
- 今後の保育需要が少子化により落ち込むと判断し抜本的な定員増に背を向け、公立保育所をつぶし、「待機児解消室」に変えている。とんでもないやり方だ。
(留守家庭児童会)
- 留守家庭児童会室は、処遇改善等の手立ても取らず、3分の1の職員が不足し、93人もの待機を生み出している。
(放課後キッズクラブ)
- 再来年度からの全面実施を前に、新年度は全校で校庭開放が実施される。学校が人材確保できなければ、人材派遣会社を利用する予定だが、子どもの安全監視は安心して任せられる人材を直接、確保すべきだ。
(図書費の不足)
- 図書費は前年比で2千万円の増額だが、逐次刊行物は減額されたままだ。
(全校への学校司書配置)
- 学校図書館司書は、複数校のかけもちではなく、専任司書の配置を。
(少人数学級)
- 学校の多忙化解消には何より人が求められるが、市独自の少人数加配を縮小。
(高齢者支援の取組み)
- より多くの高齢者の介護予防につながる生涯学習市民センターの無料化や交通費負担の軽減などを行うべき。
(事業者支援について)
- まちの活性化、商業支援について、商店リフォーム助成などコロナ禍だからこそ進めるべき事業者への支援策がない。
(困窮者支援について)
- 生活必需品や燃料費が高騰する。市民や事業者の状況を調査し、市独自の具体的な生活支援を実施すべき。
以上の理由により一般会計については反対する。
後期高齢者医療特別会計は、窓口での2割負担の影響は被保険者の四分の一に及ぶため反対。
国民健康保険特別会計は、全体として保険料が引きあがる。大阪府が目指す統一保険料化の流れにそった保険料引き上げを前提とした予算には反対する。
その他の会計等については賛成することを表明して討論とする。
|