
9月議会
◎各委員協議会
議会前の各委員協議会は、8月26日から9月1日に開催されました。
各協議会での、委員質疑の内容を紹介します。
〇市民福祉委員協議会(つつみ議員)
・費用対効果の低い「ひらかたポイント事業」…委託契約終了にともない撤退を
ひらかたポイント事業は、2018年度から委託により開始され、今年度で委託契約期間が終了することから、これまでの状況と事業の評価について報告がありました。
この事業は、市民が、ひらかたポイントカード(ひらぽ)に登録し、協力店舗でのポイント付与、また、枚方市の特定検診や運転免許の自主返納の際などにポイントが付与される仕組みとなっています。ためたポイントは、協力店舗での利用や、京阪バスポイントへの交換ができます。
しかし、市政モニターアンケートでは、事業に満足していないと答えた人が75.6%にのぼり、市民に普及していないのが現状です。
つつみ議員は「高齢者の外出支援について、交通運賃助成を廃止した際、ひらかたポイント制度と連携して外出を後押しし、外出するきっかけづくりとなる施策を推進していくとしていたが、どんな施策を行い、どのような効果があったのか」と質問。
担当課長は「楽寿荘や総合福祉センターの講座への参加やノルディックウォーキング講座、居場所への参加など11の事業を設定し、得たポイントを活用することによる外出機会の創出に寄与できた。高齢者が、新たなつながりを持ち、外出機会を拡大できるよう支援に取り組んでいく」と答えました。
つつみ議員は「ひらぽのポイントから京阪バスのポイントへの変換は、わずか83万7千円だ。他市では高齢者のワクチン接種にも、タクシー代を補助し、出かけやすい環境をつくっている」と事業が高齢者の願いを受け止めていない点を指摘。
この事業にかかわった市の職員の人件費は、今年度を除く3年間で約3300万円とのことですが、これに対し「委託料の合計は4年間で1億5千万円、市の人件費は3年間で約3300万円。この事業には、計約2億円がかかっていることになる。4年目の人件費が計上されればさらに増えることになる。
しかし、利用されたポイントは625万ポイントで、カードの登録者数も5万5千人と、費用対効果が大変低い事業となっている。委託契約が終了するのであれば、きっぱり撤退し、高齢者の外出支援事業で直接的な支援を行うべき」と求めました。
・多様化する相談への包括支援…人員を増やし、体制の整備を
枚方市では、昨年度から「健康福祉総合相談担当」を設置し、相談の複合化した事例に対応しています。障害・子ども・介護・困窮などそれぞれの窓口で受け付けた相談の内容が複雑な場合、重層的な支援を行っていくための、重層的支援体制整備事業を構築すると報告がありました。
相談を受けたところで、連絡シートを作成し、それぞれ行ってきた支援や事業をつなぎあわせ、世帯全体の課題を共に考えるためのツールとして活用します。
つつみ議員は「複雑な事例は連絡シートで報告とありますが、支援が終結するまで継続的な支援ができるようにするところはどこになるのか」と質問。
担当課長は「複合的な課題がある方については、支援の方向を共有し、健康福祉総合相談担当と社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカー(CSW)が中心となって、課題の解決に向けた支援が継続されているか状況の把握を行う」と答えました。
市民からの相談を丁寧に行うためには、職員の確保が大切です。この事業には国からの補助金があることから、担当職員やCSWの増員ができないのか質問しましたが、移行準備事業の状況を踏まえ、補助金の活用方法について検討していく考えとの答弁にとどまりました。
また、この事業については国から支援計画の策定が求められています。
つつみ議員は「行き届いた支援を行うためには、現場の様子を把握することが必要で、丁寧できめ細かな支援が求められる。 行政の責任が、地域住民や委託法人に転嫁されていくことにならないよう、計画の策定にあたっては、市民やそれぞれの事業所の参加が必要」と求めました。
〇建設環境委員協議会(広瀬委員長)
・JR長尾駅周辺地区まちづくり構想の策定へ
JR長尾駅周辺は、駅周辺に広がる市街化調整区域における幹線道路沿道の土地利用が進むことによる無秩序な開発を懸念されており、地域の代表者が中心となって「枚方市長尾地域まちづくり推進協議会」が昨年組織され、現在、地域の将来的なまちづくりの実現に向けて取り組まれており、市は、土地区画整理事業などの計画的なまちづくりを推進していくためのビジョンとなる「JR長尾駅周辺地区まちづくり構想」を策定します。
対象区域は、約95ha(長尾駅周辺の市街化調整区域)で、検討内容は、@土地利用やインフラ状況、地形などの基礎調査。A地権者を対象としたアンケート調査及び勉強会。(地権者約320名を対象に、将来の土地活用や農地保全、まちづくりについての意向を把握)B民間事業者へのヒアリング調査 Cまちづくり方針及び土地利用ゾーニングの設定。
今後のスケジュールは、8月〜9月に、地権者へのアンケート調査及び民間事業者にヒアリングを実施し、10月〜 アンケート結果等の取りまとめを行い、まちづくり構想(案)を検討。2月に地権者へ構想(案)の説明及び勉強会の開催。3月にJR長尾駅周辺地区まちづくり構想の策定を予定しています。
・第二次空き家等対策計画(案)について
枚方市空家等対策計画は令和3年度が最終年次となるため、「第2次枚方市空家等対策計画」の策定を進めています。 今般、枚方市空家等対策協議会での答申(8月2日)を受け、計画(案)がとりまとめられたため、パブリックコメントが実施されます。(9月8日〜27日)
今後の取組としては、庁内関係部署で構成する「空き家対策検討委員会」において、横断的な連携を図り、税制度の検討、空き家活用起業支援などにも取り組む等としています。
税制度の検討としては、居住用住宅とすることで税制の優遇措置があり、老朽住宅の除却が進まないことが考えられため、この点での検討が予定されています。
・都市計画マスタープラン及び立地適正化計画の中間検証等について
平成29年3月に策定した都市計画マスタープラン及び立地適正化計画が目標年次である令和8年度までの計画中間期を迎えることから、反映が必要な事項などを確認するため、中間検証を実施します。
また、令和2年度に都市再生特別措置法が改正され、頻発・激甚化する自然災害に対応した安全なまちづくりを推進するため、立地適正化計画へ「防災指針」に関する事項を記載することが制度化されました。このため両計画の中間検証の内容とあわせて、立地適正化計画の改定に向け取組みます。12月 に「中間検証」公表、パブリックコメントを実施する予定です。
〇総務委員協議会(松岡議員)
・担い手不足の自治会への支援を…届け出避難所登録制度の新設について
枚方市は、自治会が災害時に自主的に開設し、運営している集会所などの避難スペースのうち、一定の基準を満たすものについて、届出避難所として認定、支援を行うことで、避難行動の選択肢を増やす目的で、登録制度を新設します。
認定された集会所等では、備品の提供や情報伝達も直接受けます。
今回、枚方市が支援対象に考えているのは、上記アンケート結果のうち、資機材不足・運営の負担が大きいと答えた自治会です。
松岡議員は、避難場所が増えることは、この間、地域から、高齢で、第一次避難所までいけないことや、障害の特性によって、大きな集団の中に行けないという声があり喜ばれるが、より支援が必要な方が避難する可能性もあるので情報伝達など適切に行うこと。また、アンケートで担い手不足と答えた自治会には、地区防災計画策定支援など、担い手の掘り起こしなど支援を行っていくよう求めました。
・「効果額見えすぎる」として基金を廃止…この街に住みたい基金について
2020年3月議会で、行革効果額を見える化し基金を充当するする事業・充当額を明示していくとして、「この街に住みたい基金」が設置がされました。当時、党市議団は「行政の好きに使用できる基金になる。基準を設けるべきだ。使途基準がない」等の理由で、この基金に反対した経過があります。
今回「見える化によって、新規・拡充事業のための行革だと『誤解』を与えている。また、財政調整基金との差別化が困難である」との理由で基金を廃止するとしました。
理由が不可解だとして松岡議員は「枚方市が住民に対し、例えば駅前再開発事業の財源確保するために保育所民営化が必要と(あからさまに)これまで説明してきたじゃないか。行革の目的とはなんなのか」と質しました。
担当課長は「社会情勢の変化に適切に対応し、効率的、効果的な事業へと見直しを図るもの。新規事業の有る無しに関わらず、不断に取り組むもの」と答え、基金を実際に運用してみて、このような課題が表れたとしました。
松岡議員は「会派としては基金に基準を設けるべきだと指摘をしてきた。必要なのは、もっと市民の前に出て、事業廃止や新たな事業に対して、説明責任を果たすことだ。見える化の問題ではないにも関わらず、見えすぎたと廃止をするのはおかしい。
市が自らの事前検討が足らなかったと市民に示すとは。大いに反省するべきだ」と意見を述べました。
〇子育て教育委員協議会(のぐち議員)
・公立保育所民営化の時期を知らすだけの 「就学前の教育・保育施設に係るひらかたプラン」後期プラン策定へ
現在、プランの前期(令和元年度〜令和5年度)の取り組みを推進していますが、今回、プランの後期(令和6年度〜令和10年度)の取り組みとして位置付けた内容を、具体的かつ可能な限り早期に示すため、後期プランの策定に向けて取り組むと報告がありました。
のぐち議員は、後期プランのスケジュールについて、令和4年9月に後期プラン策定とあるが、予定では後期の始期は令和6年度となっている。後期プランを予定より前倒しで実施するということなのかと問いました。
担当課長は、今回の後期プランの策定は、令和6年度から前倒して、実施するというものではなく、「公立施設が担うべき役割と今後の 整理・集約」、公立施設の在り方について、保護者の入所申請に影響があることから、早期に示すべきであると考えて、今回、策定するという答えでした。
のぐち議員は、前期プランでは「前例にこだわらず」民営化を検討するとあるにもかかわらず、突然に市立桜丘北保育所と阪保育所を民営化するとした。今コロナ禍で待機児が減少し、少子化が進むなど子育ての情勢が大きく変化し、緊急時の公立保育所の役割が再認識されている。後期プランを策定、示すだけでなく、新たなプランとして更新するべきと質しました。
部長は、あくまでも今回は保育所民営化の請願審査で突然の提案になり、混乱が生じたことから議会からも早急に後期プランを策定するよう求められたので、策定するものだと答えました。
のぐち議員は、感染拡大が広がる中で公立保育所民営化でなく、その在り方を示すプランを作成すべきと指摘しました。
・高陵・中北小学校統合問題――学校名投票結果非公表はおかしい
高陵小学校、中宮北小学校の学校統合について、両校区の児童や保護者をはじめ、地域住民や教職員などから新しい学校名を6月1日〜30日まで募集し、協議会が選定したものと、もっとも名前が多かったものから協議会が一次候補を選定し、多い3つの中から最終案の学校名「禁野」が決まったという報告でした。
のぐち議員は、公募した学校名について多い学校名とその得票数について問いました。
担当課長は「今回の投票は、最終候補を3つ程度選ぶために行ったもので、得票数によって学校名を決定するのではなく、その旨は事前に学校や児童への説明も行っており、両校の校長にも説明の上、得票数は公開しないこととしている」と答弁。
のぐち議員の「保護者からは子どもたちは真剣に投票したのに、その結果が報告されないことに驚いている。なぜ公表しないのか、得票数によって決めるものでないと説明しているのだから公表すべきだ。都市経営会議で決定したと8月24日の教育委員会協議会で報告があった。市長には子どもたちの得票数について報告したのか」という質問に最初は「報告していない」と答え、子どもたちの思いというのを全く反映していないのかという追及に対して「報告している」と回答を訂正。
のぐち議員は「この間説明会のたびに市民から早期の議事録の公表など情報公開を求められてきたが、全く不十分だ。また、両校の交流も進んでいない中で、感染拡大も厳しい状況での統合はやめるべき」と意見を述べました。
・ひとり親家庭支援の早期拡充を求める
ひとり親家庭への支援体制の強化として「支援サービス・手続きガイドシステム」を構築、支援制度等の情報のプッシュ配信、オンライン相談、LINE相談の導入について報告がありました。
のぐち議員は、各種支援制度や相談窓口の認知度の低さ等が明らかになっているということだが、例えば。対象世帯数と実際に活用している数など具体的にどのような状況か問いました。
担当課長は、令和2年度、児童扶養手当の受給資格者は3805人で、子どもの育ち見守りセンターで相談を受けた数は798件、昨年に児童扶養手当受給者等へ行ったアンケートにおいて、ひとり親の相談窓口として、子どもの育ち見守りセンターを知っている方が母子家庭で3割弱という結果だと答えました。
のぐち議員は、センターは平日9時から5時半。(今回の提案も同様だが)予約制などで対応する時間を充実することを求め、担当課長からは「充実していきたい」という答えでした。
・(仮称)枚方市中学校給食あり方懇談会を設置…保護者委員をできるだけ増やせと要求
今後の中学校給食の持続可能なあり方、生徒にとって望ましい給食のあり方をあらためて検討する「(仮称)枚方市中学校給食あり方懇話会 」 を設置し、@ 現行の給食提供にかかる課題と対応 A 生徒にとって望ましい給食のあり方 B 費用対効果を踏まえた持続可能な給食提供方法などについて検討する。委員の構成は、@食育や栄養学に関する学識経験者 A枚方市 PTA 協議会 (小・中学校の保護者 B小・中学校の校長 C小・中学校の栄養教諭とする。令和3年度中に 5〜6回開催する予定と報告がありました。
のぐち議員は、懇話会の委員はできるだけAの保護者代表を増やすよう要望しました。
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