3月定例月議会
〇予算特別委員会の質疑
2020年度当初予算の審議は、3月12・16・19・24・25日に行われ、議員団からは広瀬・のぐち議員が委員として質疑を行いました。
●広瀬議員の質疑
・全員喫食をめざし、中学校給食への支援充実を …給食費の負担軽減を
中学校給食の全員喫食に向けての計画策定が先送りになるなか、新年度予算にはモデル事業の実施予算(568万円)が計上されています。
これに関わって「計画はどうなったのか。民間調理場の活用を前提に進めるということなのか、モデル事業で何を検証するのか」と問いました。
担当課長は「民間調理場活用については、他市や業者の動向を注視しながら検討を重ねている。モデル事業は、4年間の中学校給食の効果や課題を検証するもの。具体的には、保護者や生徒が給食に対してどのような意識を持つのか、何を求めているのか、また給食に対する課題を検証するもの」と答えました。
さらに、保護者の意識調査では、給食費の負担感や利用の手法についても調査するのか。加えて現在の喫食率、生活保護世帯、就学援助世帯の利用状況、中学校の給食費の全国比を問いました。
担当課長は、2月の喫食率は34・1%。生活保護世帯は約32%、就学援助世帯は約50%の利用。中学校給食の全国平均給食費は、1食あたり約292円で、本市は1食あたり330円。この事業での意識調査は、給食費の負担感や利用の手法についても対象とするよう検討すると答弁。
広瀬議員は「月額(20日間)だと5840円に対し、枚方は6600円。コンビニの振込手数料を入れると6705円となり負担が重く、生活保護世帯は平均よりも利用が低くなっている」と指摘。「保護費では支払った給食費は2か月後にしか支払われないため、4月、5月の前払い分を支援する仕組みをつくるべきだ。就学援助の受給決定がされる前と後では喫食率に差があるのか」と問いました。
担当課長は、就学援助認定前の喫食率は、7月で41%。認定後の9月以降は48〜50%。今年度、「認定者の中学校給食の給食費」についての文書を、より分かりやすく改訂したと答えました。
広瀬議員は、就学援助を利用しても1学期分の支援は後払いになるためやはり厳しい方もある。義務教育は本来無償であり、新学期のスタート支援制度をぜひ考えてほしいと求めました。
・留守家庭児童会専用室…生活の場にふさわしい整備を
令和2年度からは「学校整備計画」にそって施設整備を進める予定ですが、留守家庭児童会室は「保全」のみとされています。「今後は専用室の建て替えをしないということなのか。築30年以上の建て替えが必要な施設はないのか」と問い、担当課長は「今後は、専用施設の建替えを行うのではなく、普通教室をはじめ学校施設の活用による効率的・効果的な整備に取り組む。築30年以上経過している7施設は、今後も引き続き、施設の現況を確認しながら必要な修繕を行う」と、今後の建替えを否定しました。
これに対し「児童の放課後を豊かにする基本計画」(案)では老朽施設を建て替えず、学校活動に使用中の教室を共用する方針となっており、これでは豊かな放課後にならない」と批判。
・経済界主導のICT教育は問題…子どもと学校の負担に配慮を
枚方市では一人一台のタブレット整備を中学校から進める計画をまとめる予定でしたが、国は小学校からの導入に補助を行う予定です。
新年度の予算には中学校教員用のタブレット購入経費等の予算が2億5304万円、計上されています。
これに関して「今後の進め方、必要となる支援員の配置や大型提示装置の予算は含まれているのか」と問い、担当課長は「国が示すタブレットPCの整備スケジュールでは、令和2年度は中1・小5・小6、令和3年度は中2・中3、令和4年度は小3・小4、令和5年度は小1・小2となっており、各年度の対象学年に補助金を交付する予定。今後、補助金等の動向や財政状況を踏まえ、導入を進めていく。大型提示装置は、新年度に学校に対して授業で活用する教室の必要台数を調査し、その結果を踏まえ、タブレット整備に合わせ、契約手続きを進めてる。ICT支援員については、予算の範囲内で、学校の状況を踏まえ、配置を行っていきたい」と答弁。
広瀬議員は、経済産業省主導の「GIGAスクール構想」は学校教育の在り方を大きく変えるなど問題をはらむもので、導入にあたっては学校間格差を招かないこと、子どもと学校への負担に配慮し、必要な支援を行うことを求めました。
・(仮称)子どもを守る条例――理念だけでなく権利擁護のしくみを
子どもの権利条例の制定を求める質問に対し、改選前までは否定的な答弁だった伏見市長が子どもを守る条例の制定を新年度は進めます。
「市長は、なぜ条例制定を目指すこととしたのか。制定にあたっては、単なる理念条例ではなく、子どもの権利を守り、被害を救済する仕組みを盛り込むべきだが、市長はどう考えているのか」と、その内容を問いました。
市長は、「貧困、いじめ、虐待など、子どもを取り巻く環境がますます深刻さを増している。社会全体で子どもたちの成長を支える環境づくりを進めるため制定する。子どもの人権擁護の推進を前提とし、行政や地域の大人が子どもの健やかな成長を支えるとともに、子どもたちが社会の一員として大人へと成長するための主体性を育むことの重要性などを示すものとし、条例を踏まえさまざまな施策につなげていく予定」と答えました。
広瀬議員は「子どもを取り巻く環境がますます厳しくなっているとの認識は同じだ。『社会福祉審議会 子ども・子育て専門分科会』に諮問し、審議するが当分科会の委員には、中・高生の関係者がいない。近年では、性被害、デジタル性被害なども深刻化しており、その世代に関する有識者からの意見も必要だ。新型コロナの影響も懸念されるため、1年というスケジュールにこだわらずに、しっかり議論し制定作業を進めてほしい」と要望しました。
・災害に備え河川管理の充実を
新たに河川改良事業経費(1900万円)が計上されています。
これに関連して「これにより、どのように事業推進をはかれるのか」と問いました。
担当課長は「5つの準用河川について、それぞれの整備状況や構造物の老朽化度合いなど現状把握し、整備箇所の選定や整備手法などの整備方針を検討するもので、今後、この計画により、段階的に整備する」と答弁。
広瀬議員は「大阪府も穂谷川の改修、樹木の伐採を進めているが、JR藤阪駅付近の満穂橋より上流はこれからのため、日常の維持管理も協力して推進をしてほしい。 森林環境譲与税による基金が創設された。全国各地で森林の保水力低下による洪水氾濫などの甚大な被害がこの間の台風でもたらされていることから、前倒し増額されたもので、こうした財源は、真に防災・減災に資するよう活用を」と求めました。
・高齢者のお出かけ支援充実を
高齢者お出かけ支援のため専用ポイントをタクシークーポン券に交換できるようになったが、特定健診で得た枚方ポイントも交換可能かと問うと、担当課長はできないと答えました。
広瀬議員は、まだまだ利用のハードルは高い、効果的なお出かけ支援策の充実を求めました。
●のぐち議員の質疑
・過去最大1508億円の一般会計当初予算 …大型開発優先、市民サービス切り捨てやめよ
「一般会計当初予算の規模は対前年度104億円増の1508億円と過去最高規模の予算となる。一方で収入は市税が対前年度比5億9500万円の減、個人市民税は1億5500万円の減、法人市民税は9億5200万円の減となっている。その結果、市債残高は1183億円にと膨らんで財政規律が保てていない状況だ。その原因は70億円を目安とする投資的経費(社会資本の整備に要する経費)が2年度〜6年度に98億円から73億円とオーバー、その他に枠外で市駅周辺再整備などが2年度の144億円などだ。この状況の中で市駅周辺再整備事業は縮小すべきと指摘しなかったのか」と問いました。
総合政策部長は適切に編成を行っていると答えました。
のぐち議員は「一方で財源確保のために毎年実施される事業経費が15%程度削減されている。
市民サービスの低下になり、このような予算編成はやめるべきだ」と指摘しました。
・会計年度任用職員の月額報酬引き下げはやめよ
「非常勤職員、アルバイトの方々は4月から会計年度任用職員となり多くの方が月々の収入が下がり、毎月の暮らしが厳しくなると心配されている。なぜこのようなことが起きるのか」と問いました。
課長は「本市の非正規職員の報酬設定の実情などを踏まえ月収が下がるものの、年収で上回ることを基本に、国の事務処理マニュアルに基づき適切な設定を行った」と答えました。
のぐち議員は「会計年度任用職員数は正職員数1882人を上回る2000人。国のマニュアル通りということだが、国会において日本共産党の本村衆院議員の質問に対し、高市総務大臣が『期末手当を支給する一方で、給料や報酬を削減することは適切ではない。各地方公共団体において適切な給与決定が行われるように助言を行う』と答弁している。任用職員の給与改善を」と求めました。
・行財政改、革経常経費削減で中央図書館から専門雑誌と専門新聞が消える
逐次刊行物(新聞・雑誌)購入費が昨年度と比較し52万円の減額となりますが、その内訳を質問。
中央図書館副館長は「できるだけ利用者への影響がないよう中央図書館で購入している逐次刊行物の内、利用頻度の低い新聞5から7誌程度、雑誌が20誌程度の購入を取りやめる予定だ」と答弁。
これに対し「中央図書館から専門雑誌や専門新聞が無くなるというのは大変ショックであり、問題だ。ぜひ、継続購入を」と要望しました。
さらに「平成17年度は、中央図書館に84%の司書率だが現在は68%の司書率だ。今後の採用についてどのように考えているのか」と問いました。
副館長は、司書の資格を持つ職員の採用については、執行体制を踏まえ必要に応じて確保していくと答えました。
のぐち議員は「確保していくというが、新年度の図書館司書の新規採用はゼロだ。図書館専門職員も減る一方、経常経費削減で中央図書館にしかない雑誌、新聞が無くなる。中央図書館の司令塔という役割も機能も危機的な状況だ。図書館司書の充実と図書館協議会の設置など体制の強化を」と求めました。
・結論ありきの学校統廃合やめよ
学校規模等適正化推進事業経費、委託料4626万円について問いました。
課長は、高陵小学校と中宮北小学校の学校統合の取り組みに必要な設計委託料等と答えました。
のぐち議員は「予定されていた説明会も開催されていない。丁寧に進めていくとしながら、統合校の設計委託料が計上されている。4月には契約のための事務が始まるのではないか。話し合いが終わるまで当然事務を進めないということか」と確認。
課長は、今後も引き続き保護者や地域のご意見を伺いながら丁寧に進め、実施プランを策定し、同プランに基づき具体的な取り組みを進めていくと答えました。
のぐち議員は「これまで十分な理解を得て、実施プラン(案)を作成後に、統合協議会を設置し、おおむね学校統合までに3年間かけるとしていたが、今回は2年で統合するとしたために、実施プランを作成していないのに、設計委託を計上している。結論ありきの進め方はするな」と強く求めました。
・保育士確保が困難な状況下、無理ある民営化はやめよ
走谷保育所では募集要項にある3ヶ月間の引継ぎができずに民営化されました。今回渚保育所の民営化に向けた引継ぎの予算が計上されていますが、引継ぎ期間を6ヶ月にして50%の共同保育、月によっては20%でも可能としています。
この点で、20%以上共同保育しなければ民間委託しないのか問いました。
課長は「共同保育の状況のみをもって、保育所移管の有無を判断しない」と答えました。
のぐち議員は「募集要項は移管の条件であり、守るべきだ。丁寧な保育を行なうよう運営法人に求めていくとなっていない」と市長に質しました。
市長は保護者説明会などを通して保護者の意見・要望を聞きながら、また、法人ともしっかり連携しながら民営化を進めていくと答弁しました。
・保育士確保で待機児解消を
「公立保育所の保育士が不足し緊急受け入れができない状況の下、任期付常勤職員、障害児加配保育士がいないために障害児加配内定として障害を持つ子の待機が何人も発生しているが、新年度は必要な保育士は確保できているのか」と問いました。
課長は、必要な職員数は244人を予定、現時点で、一般職員192人、任期付常勤職員37人、会計年度任用職員3人を確保していると答えました。
のぐち議員は「すでに12人足らない。事務スタッフも5人しか応募がない。
4月から保育ができない危機的な状況だと現場も訴えている。採用の年齢引き上げや保育士資格取得支援・助成などを行ない、直ちに保育士募集を」と求めました。
課長は新規採用職員の年齢引き上げや資格取得の支援等について、引き続き検討していくと答えました。
・コミュニティーソーシャルワーカーの増員を
「北部リーフ(北部支所内のすこやか健康相談室)が、新年度から「(仮称)健康福祉相談センター」に変わり、相談対象が広がるが、どのような体制で臨むのか」と問いました。
福祉部次長は「すこやか健康相談室」に福祉に係る相談機能も付加することから、新たに設置する「健康福祉総合相談担当」と連携を図るなどし、体制を整備していくと答えました。
加えて「本庁の『健康福祉総合相談担当』にコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)を1名配置とある。それならば『(仮称)健康福祉相談センター』にも配置すべき」と問いました。
次長は、既に北部エリアにCSWを1名配置しているところであり、限られたCSWを、効果的に活用するための方策について検討していると答えました。
のぐち議員は、大阪府は中学校区ごとにCSWの配置を基本としているが、本市は4名。CSW配置や改編をする「(仮称)健康福祉相談センター」に係る整備計画等を策定するのか問いました。
次長は、CSWについては、計画的に配置を進めていく必要があると考えている。地域拠点の整備のあり方について検討を進めると答えました。
・一般ごみ収集業務は直営職員で
一般ごみの収集業務は、令和2年度から6年度に全委託化となるが、一般ごみの収集委託料は、令和元年度と比べ令和2年度はどのようになるのか、問いました。
減量業務室長は令和元年度と比べて、約2億6600万円の増加となると答えました。
一般ごみの収集に携わる人件費は、どのようになるのか問うと、令和2年度は約2億7250万円の削減となると答えました。
のぐち議員は、約2億7250万円削減している人件費から委託料を差し引くと、約600万円程度だ。自然災害等に備え、直営職員を残すべきだと要望しました。
・健康危機事象対策経費の充実を
健康危機事象対策経費について予算の内訳について説明を求めました。 課長は「感染症対策のために必要な物品の購入経費や大阪府が所有する感染症患者を病院へ搬送するための特殊車両の利用に係る負担金などを計上している。必要資材等の購入については、今回のコロナウイルス感染症に限らず、マスクや手袋の他、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』によって危険性が高いとされているエボラウイルス病等の患者搬送に対応するために電動ファン付き呼吸用防護具の購入を予定している」と答えました。
のぐち議員は「感染症などの健康危機事象に備える経費という説明だが、予算額35万円ではあまりに不十分だ。今回の事象を参考にして充実を図り、これからもしっかり対応を」と要望しました。
〇討論
大型開発優先、市民サービス低下、膨大な借金を生む一般会計予算と保険料値上げする国民健康保険、後期高齢者医療保険会計に反対
令和2年(2020年)度枚方市一般会計予算及び各特別会計に対し日本共産党議員団を代表し討論を行います。
まず、市長公約についてです。
新年度予算は市長2期目の初めての本格予算であるにも関わらず、市長が公約した「選ばれるまち」「住んでよかった」と感じるまちにチャレンジする予算とはなっていません。特に、市長就任時に約束した現在15歳までの子どもの医療費助成を18歳まで拡充、現在4年生まで実施している1クラス35人以下の学級編成を6年生まで引き上げる少人数学級の拡充、小学校図書館への学校司書を全小学校に配置する予算が含まれていないことは市民の期待を裏切るものであり問題です。
次に、財政の状況と見通しについて
当初予算の規模は対前年度104億円増の1508億円と過去最高規模の予算を計上しています。その一方で、収入は市税が対前年度比5億9500万円の減で553億8500万円。その内訳として個人市民税は1億5500万円の減、法人市民税は9億5200万円の減となっています。また、長期財政の見通しでは投資的経費が基本としている概ね70億円程度を令和2年度から令和6年度にかけて242億円から95億円と基本を大きく超え、70億円の枠外で令和2年度の144億円から令和10年度6億円もの事業を予定し、健全な財政運営ができない見通しであり、これでは財政規律が保てているとは言い難いと質すと「実質収支が10億円を下回らないから健全性を維持している」としていますが、従来は1000億円程度に収めるとしてきた市債残高は平成27年度の968億円から1183億円にと膨らんでいる状況はまさに市民が将来に大きな不安を抱くものであり、市民が安心できる長期財政の見通しに作り直すべきです。
3点目に、行政改革についてです。
新年度予算では行財政改革プラン2020の具体化で人件費5%削減よって必要な人員が配置されない、経常経費の配分見直しによってこれまで行なわれてきた事業の経費が一律に引き下げられていることが明らかになりました。
また、使用料・手数料設定基準の見直しによって牧野生涯学習市民センター北牧野分館、青少年センターホール、教育文化センター音楽室などの使用料を利用者の声を聞かずに一方的に引き上げたこと、北部支所、車塚公園などさらなる駐車場有料化に向けた関連経費が盛り込まれている点も問題です。市民負担を増やし、市民サービスを低下させる「行革」は直ちにやめるべきと申し上げておきます。
4点目に、機構改革についてです。
今回、大規模な機構改革によって、事業担当課が変わることに伴って答弁する課長も予算項目も変わり、事前のヒアリング、予算審議に大きな支障をきたす、極めて遺憾な事態が起きました。これでは予算に対して議会として責任を持てないことになります。改善を強く求めます。
また、機構改革によって社会教育部を廃止して、社会教育課は課を無くして教育政策課に、放課後児童課は学校教育部に、文化財課とスポーツ振興課は市長部局にと移管しました。この移管に伴って最低限必要な文化財説明板の所管名称を教育委員会から枚方市に変更する経費や、寄贈寄託者に保管責任者の変更を知らせる経費が無いのは無責任です。新年度予算でも社会教育活動の推進に要する経費の報償費が経常経費の削減によって減額されました。社会教育行政を解体することにより社会教育費を無くすことは、1963年に枚方市教育委員会が発表した枚方テーゼ「社会教育をすべての市民に」で示されているように住民自治の力となる、そして民主主義を育て、培い、守る予算を削るものであり到底容認できません。
以上のような特徴を持つ一般会計予算に基本的に賛成できません。
さらに、各事業について意見を述べます。
1.防災備蓄品について
新型コロナウィルスの感染に際してわが会派は他市が実施している妊婦などどうしてもマスクを必要とする市民に配布を求めましたが、備蓄がなくできませんでした。新型インフルエンザ等対策事業経費の充実でマスクを含め、備蓄品の見直しをするよう求めておきます。
感染症などの健康危機事象に備える健康危機事象対策経費の予算額は35万円であり、充実を求めます。
新型コロナウイルス対策にかかわる関連経費については、今後とも追加補正など適宜組んで迅速に対応をしていただくよう求めます。
2.枚方市駅周辺再整備事業について
枚方市駅周辺再整備基本計画策定等委託料が計上されています。再整備基本計画の策定やACD街区のまちづくりを具体化していくための業務委託に要する経費ですが、現時点において新庁舎の位置も決まらず、全体計画の規模が決まらない中での計画策定経費は計上すべきでありません。
3.会計年度任用職員の報酬について
新年度からこれまでアルバイト・非常勤職員のみなさんが会計年度任用職員に移行することで、期末手当が支給される一方で月ごとの報酬を引き下げられ、生活が苦しくなると心配の声が上がっています。このことは国としても適切でないと指導していることから月々の報酬を引き上げるべきです。
4.学校規模等適正化推進事業経費について
これは高陵小学校と中宮北小学校の学校統合の取り組みに必要となる設計委託料ですが、未だに保護者・地域への説明会も開催されておらず、実施プラン(案)を作成後に、統合協議会を設置し、おおむね学校統合までに3年間かける方針からすれば設計委託料の計上は時期尚早です。大規模校の教室不足に対しては、支援学級の増加も見込み必要な教室数を確保することを求めます。
5.公立保育所の民営化、待機児解消について
「子育て環境の充実」などに位置づけられていた公立保育所民営化が「行財政改革」として財源確保として「一年一園民営化」方針を打ち出し、令和3年4月渚保育所、令和4年4月渚西保育所を民営化し、合わせて200人規模の民営化する園舎の土地購入費、渚保育所の受託法人との引継ぎ予算が計上されています。この間、拠点園の渚西保育所は直営で存続し、新たな認可保育園を求めてきました。引継ぎについても走谷保育所で募集要項にある3ヶ月間共同保育する事項が守られずに民営化され、今回は6ヶ月50%引継ぎとしたもののこれを守らずとも民営化するというのはまさに子どもファーストの民営化とは到底言えない状況であり、子どもを犠牲にする公立保育所の民営化はやめるべきです。
市長が重点施策とした潜在的な待機児童を含めた本市独自の待機児童対策「通年のゼロ」の実現に大きな役割を果たす公立保育所では職員体制が整わず障害児加配内定という障害児の待機児が発生しています。保育士確保のための正規職員の確保と任期付き職員等の人件費の大幅引き上げを求めます。
また、年度途中の待機解消のために公立幼稚園を廃止し待機児解消室を設置し、さらにこうした手法で年度途中の待機児解消をはかる方針ですが、保育定員の拡大は認可保育園による定員増を基本とし質を守りながら量的拡大をはかるべきです。令和2年4月の定員拡大数は、わずか50人、3年4月は40人とあまりに少なすぎます。また、費用対効果の点からも合理的な待機児解消策とは言えません。
6.ごみ収集の委託化について
ごみの収集業務における一般ごみの収集業務が令和2年度から6年度にかけて全民間委託化が始まります。委託化に伴って削減した人件費から委託料を差し引くと約600万円であり、災害時・緊急時に備えるためにも直営職員を存続すべきです。
7.(仮称)健康福祉相談センター、総合相談窓口について
地域共生社会を目指し本庁に健康福祉総合相談担当、北部支所のすこやか健康相談室を(仮称)健康福祉相談センターに変更しますが、福祉全般の相談業務を担うソーシャルケースワーカーは1名しか増員していません。本来19名必要にもかかわらず、現在5名です。早急な増員を求めます。
8.図書館について
図書館司書について司書率が年々低下しています。新年度においても新規の図書館司書採用はありません。これでは図書館の専門性が維持できません。図書館司書の計画的採用と図書館協議会の設置を求めます。
また、中央図書館において逐次刊行物購入費(新聞・雑誌購入費)が52万円減額され、できるだけ利用者への影響がないよう中央図書館の新聞7誌・雑誌20誌を減らすとしています。これでは中央図書館の機能を放棄するものであり、継続購入を強く求めます。
9.放課後子ども事業、放課後キッズクラブについて
留守家庭児童会については、老朽施設の建て替え事業費が含まれず、今後、老朽施設は建て替えでなく、使用中の教室を使いまわして利用するタイムシェアリングなどの方法で専用室とする方針が示されました。留守家庭児童会室は子どもの生活の場であり、落ち着いて過ごすことができる専用室を整備すべきです。
放課後4事業は民間活力の活用を前提に進められていますが、子どもにかかわる事業は安易に民間に委ねるのではなく、危機事象にも対応できるように直接責任を持って運営すべきです。
以上の理由により一般会計については反対します。
次に特別会計についてです。
まず、国民健康保険特別会計については、先の厚生常任員会の議案審査でも述べたとおり、広域化方針にそって、保険料の引き上げが予定されています。深刻なコロナ不況が心配をされるなかで保険料を引き上げることは納得ができません。必要な対策を早期に講じていただくよう求めます。
次に、後期高齢者医療制度特別会計についても、保険料が引き上げられ、加えて保険料軽減措置が改悪をされています、その影響で低所得者層でも大幅に保険料が引き上がることは問題です。
次に、介護保険特別会計については賛成しますが、地域包括ケア構想の深化が大きな課題となるなか担当課がなくなります。安心して老後を暮らせるように医療と介護、健康、福祉の連携強化がますます必要となります。高齢者の健康増進と介護予防を一体に推進する取り組みをするためには、全体としてのビジョンをまず示すべきです。
市立ひらかた病院企業会計についても賛成しますが、新型コロナの影響により各医療機関で受診抑制が生じ、病院経営にも影響を与えかねない状況です。必要な支援を国に求めるとともに、側面的な支援を枚方市としても十分に講じられるよう求めておきます。
水道事業会計については、DBO方式を用いた更新事業が令和2年度の契約に向け進められます。設計工事から運転維持管理等を含めて25年間に及ぶ事業が安全性、安定給水が継続できるように、将来にわたり市職員の人材の確保、育成を要望しておきます。
その他の、会計については賛成することを述べて討論といたします。
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