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定例市会報告

9月議会報告

決算特別委員会

 平成30(2018)年度の決算審査が、10月21日から5日間で行われました。
 議員団からは、広瀬・松岡議員が委員として質疑を行いました。
 質疑要旨は以下の通りです。

●広瀬議員

(総務・文教関係)

・災害に備え、建物・人の増強を

 30年度の決算は、大阪北部地震や台風21号などの災害関連費などにより単年度収支は1億5700万円の赤字となりましたが、実質収支で16億円の黒字となりました。
 今後の財政需要を踏まえて繰入金を前年度より18億円抑制し、さらに基金を8億円増額させた点について説明を求めました。
 今後、税収減や社会保障費の増加、枚方市駅周辺再整備など大型事業に対する財政負担が見込まれるため、繰入を抑制し、財政調整基金が5億1500万円、新庁舎及び総合文化施設整備事業基金に3億1100万円を積み立てたという答弁でしたが、これに対し、災害対策に多額の費用が必要としながらも、市駅周辺再整備に向け基金を増額させるなど、大風呂敷を広げて取組むのではなく災害対策の拠点となる市役所づくりを最優先に取組むべき、建物と人の両方が必要だと強調。

・子どもの貧困解決へ、さらなる努力を

 就学援助費のうち新小学校1年生対象の「新入学児童学用品費」は、小学校入学後の7月に支給をされていましたが、入学前に支給されるようになりました。
 党議員団からも入学前支給を求めるとともに、出来るだけ早期の支給を求めてきた結果です。
 30年度の支給は31年3月12日だったことが質疑で明らかに。
 豊中市では2月末に支給をしていることを紹介し、申請受付が10月からであり、早期に申込んだ方には、より速い支給が可能となるはずだとさらなる改善を求めました。

・あまりに冷たい…留守家庭児童会室保育料滞納世帯の子の入室を一律不許可

 留守家庭児童会の保育料を滞納した場合、次年度の入室は保育料の完納が条件となっています。
 離婚などにより世帯状況が変わり、生活保護の受給が必要となった場合などでも完納が入室の条件となるのかとの問いに対し、答弁は、負担の公平性等の観点から全額納付が必要であり、滞納時には入所保留となると募集要項に記載している、というものでした。
 「あまりに冷たい対応だ。困窮世帯の子どもを守るのが行政の役割ではないの か」と、改善を求めました。

(厚生・建設環境)

・老人福祉費7割減…外出支援などの充実を

 平成30年度決算では、扶助費のうち老人福祉費が前年度決算額の8億1000万円から、2億7100万円にと、約5億3900万円も減少しており、その理由を問いました。
 平成30年度から大阪府の医療助成制度が改正され、老人医療助成費と障害者医療助成費を統合し、新たに重度障害者医療費が創設され、29年度までは老人福祉費で区分していたものを、社会福祉費に区分変更したことが理由です。
 集計区分の変更とは言うものの、府の老人医療助成制度の部分改悪により、65歳以上の重度以外の精神障がい者・難病患者、結核患者は助成対象外となり、現在、経過措置で助成を受けている2113人の方々も来年度には対象外となってしまいます。
 市長に対し「老人福祉費が大幅に減少しているが、高齢者福祉に対してどのように取組んでいくのか」と問い、市長は「老人福祉費の減少は、あくまで集計区分の変更によるものであり、高齢者福祉については、今後も、必要なサービスの提供に努めたい」と答弁。
 これに対しては「老人医療助成費は、障害者医療費の増加分と差し引きしても、約6000万円の歳出が抑制されており、30年度は約2億1600万円の歳出があるが来年度はこれもなくなる。老人福祉費では、他に高齢者外出支援の事業費として約2680万円の支出があるが、これも経過措置で30年度をもって廃止されている。
 そうなると一体、枚方市の老人福祉は何があるのか。老人福祉法にもとづき設置された総合福祉センターでさえ、法は無料または低廉な料金でとうたっているのに、一般施設と変わらない負担を求めている。
 今後も必要なサービスの提供をしていくとのことだが、老人福祉費はバッサリ削られている。高齢者の外出支援や暮らしの支援に努めるべき」と意見を述べました。

・生存権脅かす生活保護基準…約8割の保護世帯がマイナスに

 昨年10月よりの生活保護の基準見直しで、保護費が減少した世帯数を問い、また、見直しにより、保護が停止、廃止になる世帯の有無を問いました。
 「9月と10月の比較では、5728世帯中4386世帯で減少している。(他の要因により生活扶助基準額が減少しているものも含む)また、基準改定を直接の理由として、保護の停廃止に到った世帯はない」という答弁。
 これに対し「高齢者世帯や子育て世帯でも、減額となる世帯があり、消費税増税のもとでもさらに来年度も減額が予定されている。市として出来る努力を」と求めました。

●松岡議員

(総務・文教)

・市の負担つづくマイナンバー制度

 マイナンバー制度が始まって3年以上が経過しました。
 市の30年度までの交付数は、5万7937枚、普及率は、14.3パーセント。その中で、30年度の市の負担額が約4千万円に及ぶことから、要因を尋ねました。
 「休日勤務手当てを除く職員の人件費や機器の賃借料、通信運搬費の一部などが市の負担」との答え。
 これについて「制度初年度の28年から市負担の累積額は、約1億5千万円に及んでいる。財政が厳しいと言いながら、こうした負担が増えている。どれも国が負担をして当然の費用だ」と指摘。
 「すでに枚方でも、マイナンバーカードをもつ、約1%程度の方は、紛失した場合、番号を他人に知られるような危険にさらされている。当初からマイナンバー制度については、情報は集めれば、集めるほど、情報を欲しがる人が増え漏えいの危険が増す制度と言われてきた。市は独自負担も負い、情報漏洩などのリスクも抱える状況でこの制度は疑問だ」と意見を述べました。

(厚生・建設環境)

・募集要項守らぬ保育所民営化は中止を

 今年の4月に走谷保育所は民営化となりました。 平成30年度に実施された民営化のための保育士の引継ぎ予算がすべて使われておらず、この執行率を問い、「引継ぎに保育士配置ができなかった時間を減額しており、予算の執行率は約85%」との答弁。
 走谷保育所民営化の法人募集の募集要項にも、応募資格及び条件として、1月〜3月の共同保育期間に各クラスに保育士を配置するとしています。
 保護者が当初から「せめて6ヶ月に」と求めていたにも関わらず募集要項では3ヶ月の引継ぎ期間にされました。1年間の引継ぎを行っている他市事例もあるなかで、3ヶ月である根拠も特にないのです。
 もともと党議員団は、保護者や関係者の思いを全く無視する民営化には反対の立場を表明してきました。今回の件でも「最低限の約束事も守られない民営化は中止するべきだ」と主張。

〇特別会計・企業会計

●広瀬議員

・国民健康保険…一般会計からの繰り入れゼロ

 平成30年度から国民健康保険の広域化が始まりましたが、一般会計からの法定外繰入については、「大阪府統一基準に基づく減免に要する費用が、大阪府からの交付金で賄われるため、一般会計からの繰入れは行ってない」旨の答弁がありました。
 29年度までは、広域化に向けた赤字解消のための繰入や保険料軽減のための繰入が行われてきたことを踏まえ、こうした基準外の特別会計への繰入の5年間の平均額を問い、平成25年度から平成29年度までの5年間の平均は、1か年当たり約10億円と答えがありました。
 また、30年度に大阪府が実施した激変緩和の状況は、総額約9億9000万円で、1人当たり1万1121円の負担軽減となる計算でした。
 「一般会計の負担は随分と軽減されている。しかし、被保険者にとって広域化は負担増となる。激変緩和が無くなれば保険料が上がる」と改善を求めました。

・市立ひらかた病院駐車場 障がい者への合理的配慮を

 ひらかた病院の駐車場で、「市の駐車場有料化方針」では無料とされている障害者が有料となっている問題や障害者用スペースにトラサクが設置され利用しにくい問題について問いました。
 担当課長は、次回の行政財産の目的外使用許可更新時に向け、改めて検証し直し、利用者にとって、より良い病院となるよう検討すると答えました。

●松岡議員

・特別養護老人ホームの整備を

 第7期計画で153床の整備がしめされている、特養の状況を尋ねました。
 「30年度は広域型特別養護老人ホーム95床、定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホーム1か所29床を、公募により整備事業候補者を選定し、内15床は既に整備を完了し、残りは現在整備完了に向けて手続きを進めている。また、応募のなかった圏域の地域密着型特別養護老人ホーム1か所については、引き続き整備に向けて取り組んでいる」との答弁。
 住民ニーズが高いにも関わらず、公募をしても、応募がないという状況は、自治体としても工夫が求められます。
 今年の9月末現在で、特養待機者は1,533人。非常に多くの方が待機していることを踏まえると、施設の整備は急務です。市内には大小様々な未活用国有地があり、これを利用すれば事業者の負担を少しでも軽減できるとして、国有地の活用も視野にいれて整備を進めるべきだと求めました。

・介護保険料の独自軽減を

 国は、消費税増税に伴う低所得者への介護保険料の負担軽減を目的に、保険料第1〜3段階への軽減を実施しました。
 これは、増税に対する軽減にすぎず、中でも、第2・3段階の方は、第1段階までの保険料減免制度があるにも関わらず、第1段階の方がさらなる収入減などの事態に陥ったとしても、これ以上の減免制度がありません。
 国の軽減策などによって、全ての方に負担能力に応じた負担となっていると答弁がありましたが、「市の作成資料でも、第1段階の方の最多収入(所得)は、0〜40万円という状況。負担が重い状況に変わりない。これまでも、独自減免は難しいと聞かされてきたが、大阪府下でも独自で第1段階の方に第3段階の1−2までの軽減を行うなど軽減策が実施されている市がある。生活困窮者の暮らしを支えるためにも市独自の軽減策が必要だ」と求めました。

〇一般会計・国保会計・後期高齢者会計に反対
(平成30年度決算認定に対する広瀬議員が行った討論)

・必要な人員を確保し、命と暮らし守る自治体運営を

 昨年度、大阪北部地震や台風21号を教訓に、防災・減災対策の充実が必要。慢性的な職員不足は災害対応、復興に支障を与える。今後もごみ収集やポンプ場など委託拡大する考えが示されているが、市民サービスや災害対応能力の低下につながるような委託拡大はすべきではない。
 財政の状況は、一般会計決算では、単年度収支では約1億8000万円の赤字、実質収支は引き続き約15億6600万円の黒字となった。災害対策経費は前年比で、約19億円の支出増だが、そのなかにあっても、財政調整基金は約5億円増加し、また、将来見込まれる枚方市駅周辺再整備の本格化を見据え、新庁舎及び総合文化施設整備事業基金に約3億円の積み立てが行われた。
 引き続き堅調な財政運営だが、本年10月からの消費税増税は自治体財政にも影響を与えかねない。枚方市駅周辺再整備は慎重な対応が求められる。長期財政との整合性を保ちながら、大規模災害に対応できる庁舎の整備を最優先に取組むこと。
 以下、具体の課題について述べる。
●市民税等の徴収率向上に向けた取り組みについて…債権回収課の差押え件数は平成29年度の268件から30年度は303件に増加。市民生活に寄り添った債権回収、生活再建への支援は不充分。
●子どもの貧困対策について…総合的に対策を進めるとしながら、具体の進捗を感じられない。留守家庭児童会室の保育料滞納世帯への対応にみられるように、困窮世帯の児童を守るどころか、事情に寄らず入室拒否の対応がされていることは問題だ。
●待機児童の解消…年度途中も当初も待機児解消に至らなかった。保育所民営化は拠点園(公立として残す予定)とされていた渚西保育所を渚保育所とともに廃止、民営化する方針を示したこと、走谷保育所の民営化は、保育士の確保がままならず予定通り引継ぎが実施できなかった。
●老人福祉費…老人医療助成制度の改変で、助成を受けてきた高齢者が切り捨てられること、高齢者外出支援のためのバスカード購入助成の廃止により実施されてきた経過措置が十分な代替案もないまま廃止されたことは問題。高齢者が生き生きと暮らせるまちづくりに向けより一層の努力を。
●生涯学習市民センター・図書館への指定管理者制度導入…図書館と生涯学習市民センターへの指定管理者制度が6つの複合館に導入。そのもとで団体登録数が約300減少。市民活動への支援より指定管理者の自主事業を優先させる事業運営がみられるが、その内容が事務概要にも掲載されない。
 以上の理由により一般会計については反対、保険料が引き上げられた国民健康保険特別会計と、制度そのものに問題がある後期高齢者医療特別会計については決算認定にも反対する。他の特別会計・企業会計については賛成する。

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