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定例市会報告

9月議会

◎ 決算特別委員会(議員団から広瀬・のぐち議員)

〇 広瀬議員

 市の財政状況・消費税交付金・就学援助・教師の多忙化対策・大規模校対策・藤阪テニスコートなどを取り上げました。

・平和・人権・民主主義を守る市政運営であったのか

 枚方市駅周辺再整備に関する民間アドバイザーの設置に反対したこと等を理由に、その後の議会質疑で共産党議員団に対して意図的に説明責任を果たそうとしない答弁差別が行われたこと、職員による不正・差別、暴行などが生じた問題をあらためて指摘し、正義や民主主義を踏みにじっては、まともな市政を築けない。誇れる街にもならないと民主主義を市政にしっかり根付かせるようにと求めました。

・市民負担を押し付ける新行政改革実施プラン

 枚方市は新行政改革の実施で、枚方市駅周辺再整備や子育て公約の財源確保に努めます。効果額を問うたところ、「ふるさと寄付金で約1億9532万円、未収金対策の強化で4億5141万円、国民健康保険料の収納率の向上で1億6956万円、来庁者・利用者駐車場の有料化5431万円などで(全体の)効果額は26億3971万円」との答え。これに対し「駐車場有料化など、市民に負担を求める取り組みもあり問題」と指摘。

・非核協副会長市にふさわしい活動を

 市が副会長市となっている日本非核宣言自治体協議会や、本市が加盟する平和首長会議加入状況と負担金を確認したうえで、平和首長会議では『ヒバクシャ国際署名』と『核兵器禁止条約』の早期締結を求める署名活動を展開しているが、万博誘致の署名と、ヒバクシャ国際署名とでは、市の取り組みに差が生じている理由を問いました。
 議会答弁の中で市長が「核兵器のない社会が理想だがわが国をとりまく環境を考慮し署名をしないと判断した」と述べたことに触れ、これらの署名に対する対応の差は市長の思いの違いだと指摘。市長自身が現状核兵器が必要との考えならば非核協の副会長市を引き受けるべきではないと主張。
 しかし、市長は非核協とともに取組んでいくと述べるにとどまりました。

・子どもの貧困対策に逆行…奨学金のための証明まで有料に

 新行革プランでは「使用料・手数料の見直し」も課題としています。調査・検討段階であるにもかかわらず、奨学金制度利用者の証明書発行については29年度から先行して廃止、有料化されました。
 50年続いた減免制度をなぜ廃止したのかという問いには、「平成17年度以降高校生に対する奨学金制度は大阪府や公益法人に移管され、大学等が対象となり、当初の目的であった中学生が出願を行う奨学金は対象に含まれなくなった。
 また、高等学校等を対象とした市教育委員会の枚方市奨学金、国の就学支援金や大阪府の授業料支援補助金に関する証明を取得する場合は有料で、手数料の取扱いが不均衡となっていたため、一律有料とした」との答え。
 子どもの貧困解消を総合的にすすめるとしながら、こうした対応でいいのかと追及。教育長は「不均衡是正のために実施されたもの」と証明の有料化を容認しました。

・保育所待機は依然深刻 質量ともの確保を早急に

 いわゆる潜在的な待機児童を含めた平成29年度4月の待機児童数は299人となっています。29年度に「通年のゼロ」(年度途中も含めた待機児解消)を目標に掲げたにもかかわらず、達成していません。
 待機児童の状況は、平成29年度3月の待機児童数は448人。直近のブロック別の待機児童数は、平成30年9月で、北部108人、中部80人、南部163人、東部73人で合計424人。
 これに対し「31年度当初までに500人の拡大を行っても、通年どころか年度当初も厳しい状況だ。31年度中に事業計画を見直すとのことだが、その間、足踏み状態にならないよう31年度中の定員増もさらに努力し、質量ともの確保に向け計画の見直しを」と求めました。
 また、農業従事者の入所基準点数が内職と同様の取扱いとなっており、これは就労の実態を踏まえていないと改善を求めました。

〇 のぐち議員

 市制70周年記念事業・図書費の増額と分室の充実・学校図書館司書の待遇改善・図書館と生涯学習市民センターの指定管理者制度と子どもの利用などをとりあげました。

・生活実態を無視した預金の差し押さえを追及、市民に寄り添う生活再建型滞納整理を求める

 徴収費について、納税課が29年度では前年に比べ、1059件差押え件数が増えている理由を質しました。効率的に財産調査した結果という答えに対し、「納税課が連絡が取れないという理由で、(本人を)呼び出すために給与振り込み直後に口座残高全額を差し押えられた」というケースや「生活保護基準を下回る収入でしかないのに預金を差し押さえられた」というケースをあげ、預金を差し押さえた件数と生保基準以下の収入の世帯の差し押さえ件数を問うたところ、「そのような調査はしていない」との答え、生活実態を無視した徴収事務の実態が明らかになりました。
 さらに、預金差し押えを行う場合、その人の生活状況を考えて、税法の給与差押禁止額を配慮しているのか問いました。「滞納処分は、できる限り滞納者の生活状況の把握に努めているが、給与が預金口座に振り込まれたら給与再建でなくなるので全額差し押さえることができる」との答えに対し、差し押さえ禁止額を超えて差し押さえるというのは、その後の市民生活ができなくても関係ないと言っているに等しい。こんな姿勢で徴収事務をしているということなのかと追及。
 市民の生活支援、生活再建の立場で徴収事務を行い、市民に寄り添った生活再建型滞納整理に取り組むよう強く求めました。

・機械的な人事異動を改善し、高度な知識で的確に説明責任を果たす職員を

 「職員数が削減される中、職員1人の職域の幅が広がり、市民からの様々な質問に対応するための経験と知識が必要になっている。一方で職員を3年をメドに異動させるジョブローテーションを実施しているが?」とその状況を問いました。
 担当課長は、平成30年4月1日定期人事異動対象者における、入職10年目までのジョブローテーション対象者の平均在課年数は3.3年となっている。また、ジョブローテーション対象外で課長代理までの平均在課年数は、4.1年となっていると答えました。
 これに対し、このような状況で市が目指すべき職員像としている「市民と向き合い説明責任を果たす職員、職務に対する高度な知識を持ち、市民に対して的確に説明責任を果たせる職員」となれるのかと質し、「配属何年目であっても、責任を持って対応すべき」との答えがありましたが、「実際はそうなっていないから苦情や窓口職場での待ち時間が長くなっている。実情を調べて機械的な人事異動と昇格させて給与を引き上げるための人事異動、特に定年前の昇格人事異動をやめ、全体の奉仕者である公務員として力が発揮できる人事異動と給与制度に改善を」と強く求めました。

・市役所駐車場料金最大2000円のケースも

 市役所の来庁者駐車場が1年間有料駐車場として運営されていますが、市役所開庁日の利用状況を問いました。「開庁日の入庫台数は18万7916台、そのうち、市役所で、60分の無料処理が行われた台数は、13万8686台で全体の約74%であり、また、90分の無料処理及び身体障害者手帳等を所持の方で所用時間の全時間の無料処理が行われた台数は、1万7543台で全体の約9.3%で、市役所に車で来庁された方が無料処理を受けられた台数は、全体の約83%」ということでした。
 さらに「無料処理を受けた台数のうち何台が延長料金を支払っているか市はわからないということだが、問題だ。国民健康保険窓口の待ち時間の最大待ち時間の月平均は138分、最大待ち時間は258分、これはあくまで待ち時間のみで平均30分以上かかる用務時間を加えると288分になるが、駐車料金をいくらになるのか」と問い、「市役所の用務で窓口混雑のために、288分の所要時間が必要となった場合、90分の無料処理を行うので、超過時間が198分となり、この時の駐車料金は、開庁時間帯の駐車料金が10分ごとに100円となるので2千円となる」との答え。
 市役所全体の待ち時間を調べることとあわせて、市役所に用務で来られた方は原則駐車料金を無料にするべきと主張。

・児童虐待、ひきこもり等に対応する職員の待遇改善と正職員化を求める
――児童虐待対応職員は正職員6人と非常勤職員3人

 児童虐待について「9人で対応しているとのことだが、そこには高い専門性が求められる。どのような職種の職員が従事しているのか、また、非常勤職員の勤務形態はどうか」と問いました。
 担当課長は「複雑多様化する相談等へ対応するため、精神保健福祉士、臨床心理士、保健師、保育士及び教員OBで、様々な専門職を配置している。特別職の非常勤職員は全員が臨床心理士であり、週3日、9時から17時30分までの勤務となっている」と答えました。
 これに対し、週3日の体制を確認するとともに、非常勤職員の正職員化も含め、正職員の配置を求めました。

――ひきこもり等への対応職員は正職員4人と非常勤職員2人

 相談件数が増える中で正職員4人(管理職2名はひとり親家庭への相談・支援も担当)の職種、非常勤職員の勤務形態について問いました。
 答弁は「専門職として臨床心理士と社会福祉士を配置し、また、相談件数の増加に伴い、今年度は臨床心理士資格を有する非常勤職員を1名増員した。なお、非常勤職員の勤務形態は週4日勤務」というものでした。
 対して「非常勤の週4日勤務ということでは相談者にあわせた十分な対応は難しいと思うが、他市では専門職非常勤職員を正職員の年齢制限を引き上げて正職員化している。今後の枚方市の福祉施策の充実を図るため、非常勤職員の正職員化、専門職採用で安定した雇用形態の構築を」と求めました。

〇 平成29年度決算――一般会計・国民健康保険特別会計・後期高齢者医療特別会計・病院事業会計に反対(広瀬議員が行った討論 要旨)

 29年度は市政施行70周年を迎え、数々の周年行事が組まれた。市への愛着と誇りを培い、市民参加によりさらに枚方の自治を発展させる契機とすることが求められたが、本市の歴史を振り返る市史の編纂にも取り組まれず、充分な成果につながったのか疑問が残る。
 わが国をとりまく環境は、北朝鮮によるミサイル発射実験が繰り返され、偶発的な事態から、いつ戦闘状態、戦争に発展するかもしれないという不安が広がった。しかし、世界は対話による解決と核兵器の禁止を求め続け、国連では核兵器禁止条約が締結され、南北対話、米朝対話が進んだ。(中略)
 非核平和都市副会長市として本市に期待される役割は大きく、また誇りあるものとなっている。しかし、その位置と役割にふさわしい取組みが行えたか。万博推進署名は地域に依頼をしながら、核兵器禁止条約の締結を求める署名やヒバクシャ署名は、呼びかけなかったことは納得できない。(中略)
 公務員として憲法を遵守し、憲法を市政に活かすために最大限力を尽くさなければならないのに、市役所からそうした気風が消え、民主主義も人権も蹂躙して恥じない風潮が広がっているのではないかと危惧する出来事が相次いだ。(中略)
 「滞納した人間は最低だ」と言わんばかりの対応で、市民に寄り添う姿勢は感じられない。是正を求める。
 財政の状況は、一般会計決算では単年度で約5200万円、実施収支で16億7400万円の黒字。基金の現在高は271億5600万円と28年度から約1億円が増加。財政状況を示す指標では、経常収支比率が28年度の94.9%から0.5ポイント減少し94.5.%と若干の改善がはかられているが2年連続で90%台と財政の硬直化が続き先行きの不安感もある。だが、市民ニーズに応える仕事ができないといった財政状況ではない。
 平成29年度市政運営方針では、「公約の実現に向け、具体的な取り組みを着実に実施していく重要な年」とあった。しかし、市長が2年目の本格予算として組まれたその中身、また執行された内容には、最重要の取組として位置付けられていたはずの子育てや教育に関する重点公約は財源確保を理由に先送りされ、市長の任期中にはほぼ不可能な状況となっている。本来、ここで公約実現に向けた本格的な取り組みとその具体化が図られるべきである。結果として本市の出生数は27年度の2998人から29年度は2814人と減少を食い止めるには至っていない。なぜ取り組まなかったのか、市長の責任が問われる。
 その一方で、新行政改革実施プランを推進し、子育て公約や市駅周辺再整備に要する財源確保をはかっていくと説明されてきた。しかし、この中には子育て世代を含め市民負担増を求めるものや、引き続く保育所や学校給食等の民営化や民間委託などのアウトソーシングが含まれており問題がある。
 以下、具体的課題、問題について意見をのべます。

◯行革プランについて。

市民サービスの低下や負担増を招くものについては見直しを求めてきた。とりわけ実施されてきた来庁舎駐車場の有料化は、国保の窓口だけをみても長時間にわたり待たせる状況で、過度な市民負担をもたらしている点でも問題であり、庁用利用については無料にもどすべきだ。

○市民税等の徴収率の向上に向けた取組のなかで差押えが急増し、納税課と債権回収課だけでも1278件の増加、しかし、この間の相談事例からみても生活再建型の支援がなされておらず問題。市民サービスコーナーの廃止も市民に多大な不便をかけるもので、これをてこにマイナンバーの普及を図ろうとする点も納得できるものではない。

○子どもの貧困対策について。総合的に対策を進めるとしながら、事務事業の見直しのなかで、奨学金制度に必要な照明の発行手数料を有料としたことは問題だ。大学も含めて高校授業料の軽減や奨学金に必要な照明は全て無料で発行すべき。また、中学校の制服負担など保護者負担の実態を教育委員会として十分に把握せず、負担軽減の努力が十分に講じられているとは言えない状況だ。(中略)

○待機児解消について。通年の待機児解消をめざしたが、待機は減少していない。質量ともの確保が必要であり、子どもの育ちにとって最善の環境を提供できるふさわしい目標設定、追加の確保策を早期に示されるよう求める。保育士の処遇改善、保育士確保についても、市独自の有効な支援策を求めてきたが取り組みは不十分だった。

○高齢者の暮らしを支える支援では、高齢者外出支援のためのバスカード購入助成の廃止により経過措置が実施されたが金額や手続きの煩雑さなど課題がある。集いの場の整備にも努めたが、老人福祉センターの無料化、高齢者減免の実施などは実施されなかった。

○さだ・牧野生涯学習市民センター・図書館への指定管理導入は充分な効果検証が出来たとはいえない。十分なコスト削減にもつながっておらず、このまま指定管理導入を拡大することは問題。また、社会教育委員会議は図書館協議会を兼ねるといいながら年2回の開催では不十分。また、社会教育計画の策定もされていない。図書の選書を巡っても様々な課題があり、図書館運営協議会を設置すべきだ。

◯学校教育について。

教師の多忙化解消がもとめられている。本来、大阪府の努力により少人数学級が推進され必要な教員の加配がされなければならない。この努力が不十分ななかで市独自に様々な支援を実施しているが、一方で様々な取り組みが打ち出され、充分な軽減につながってはいない。また市長公約であった少人数学級の推進が強く求められる。学校図書館に司書配置が行われたが、図書館開館時間や小学校支援の状況など充分に把握されていないことは問題である。専門性のスキルの高い学校司書の確保のため、学校司書の正規雇用化など、雇用条件の改善に努めるとともに小中全校配置に向けより一層の努力を求める。

○図書館の本の貸し出しについて。本来は権利として借りることができる府立図書館の専門書などついて、枚方市の選書規定に基づいて貸出しに制限を加えていたことが明らかになった。また、市民が求める専門書、学習参考書、漫画なども含めるよう改善を求めたが、市民ニーズに応えることができない要因は図書費の不足が原因であり増額が必要だ。また、市民の知る権利、知る自由を守るために図書館協議会を設置すべき。
 以上のとおり、様々な問題がある一般会計の決算認定には反対する。

◯国民健康保険特別会計

 30年度からの国保広域化に向け赤字解消が推進されると同時に、保険料負担の増大を軽減するための当初の繰入れは不適切だとして行われなかった。これにより保険料が政令軽減の拡充対象世帯を除き、引き上がったことは問題で決算認定にも反対する。国保の広域化にメリットはなく、自主性を持った取り組みを求める。

◯後期高齢者医療制度について

 すでに広域化の先取りとして進められてきた75歳以上のみの保険制度は、制度そのものに反対してきたが、29年度は保険料の特例軽減の見直しによる負担増も持ち込まれており決算認定にも反対する。

◯病院事業会計について

 駐車場の有料化に続き、紹介状の無い方への初診料加算金の引き上げが行われた。この点は納得がいかず決算認定には反対するが、多額のコストをかけてようやく整備完了した病院。市民のみなさんから公立病院があって良かったと信頼されるよう、経営改善も含め引き続く努力を求める。

◯介護保険特別会計について

 新総合事業のスタートの年であり、利用者ニーズに即した事業の展開、枚方らしい包括ケアの推進を求めてきた。必要なサービスが提供できるよう引き続き努力を求める。新たな事業に意欲的に取組んできたことは評価するが、定着はこれからであり、高齢者ニーズに即した取組の充実を求め 賛成とする。
 他の特別会計及び事業会計についても賛成する。

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