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定例市会報告

3月議会報告

○ 市民説明行い意見を聞く努力なし、多くの問題含んだ『美術館の寄付受け入れ』議案に反対

 議案第142号 負担付き寄付の収受について日本共産党議員団を代表し討論を致します。
 先ほど総務常任委員長よりご報告を頂きました。委員会採決では賛成多数で可決をされたとのことですが、賛否それぞれの討論を聞かせて頂くと、誰もが喜んで賛成とは言えない状況です。こうしたなか判断を下すことは適切ではなく、本来なら市は議案を一旦取り下げるべきだったのではないでしょうか。

 もちろん寄付者のお気持ちには心から感謝と敬意を表します。出来る限り期待に応えたとの思いは当然のことですし、文化行政の充実・発展は心から望むものです。
 しかし、そのお気持ちに応える美術館の運営を枚方市が本当に担えるのか、昨年7月に寄付の申し出の話をお聞きしてから、他市の美術館の運営状況なども視察し、市民の声や総合文化施設との関係など市政全体の整合性も含め党議員団としてどう判断すべきか検討を続けてきました。そのことを前提に以下、問題点を述べさせていただきます。

 一つめは場所の問題です。
 寄付者からは「自然のもつ素晴らしさを再認識できる、四季の花に満ちた美しい美術館を香ヶ丘周辺において建設したい」と建物価格で約7億の美術館の建設と所蔵されている約80点の作品のご寄付を申し出いただいたとのことです。申し出を受け、枚方市は総合文化施設にギャラリーを計画している旨を伝えたとのことですが、香ヶ丘周辺でとの強い希望を受けたとして香里ヶ丘中央公園を即座に候補地とされました。
 しかし、市民の皆さんはこの計画をどうご覧になっているのでしょうか。いつも公園で憩われている方、公園の樹々を見上げて癒されている方々はどう思われるでしょう。綺麗に整備されるとはいえ樹木の伐採に抵抗を感じる方、切らないでほしいと願う方もおられるはずです。地域コミュニティーに説明するだけではなく、広く市民にこの地に美術館を設置し運営する意向であることを示し、ご意見を伺う手続きが必要だったのではないでしょうか。

 2つめは、総合文化施設との整合性の問題です。
 総合文化施設は、これから基本計画の内容についてパブコメや市民説明会を予定していますが、施設には美術館の基本的な機能を一定ふまえたギャラリーを整備する予定でした。現在の市民ギャラリー等を集約化していくのかどうかが問われている時に美術館計画が突然、加わるわけです。収蔵機能を美術館に持って行くことで総合文化施設のコストを削減できるとの説明もありましたが、総合文化施設の側で学芸員の配置や企画がどうなるのか、それぞれのコンセプトや市全体のアートビジョンを示して丁寧に説明する必要が総合文化施設の基本計画との関わりでもあるはずです。
 また、市駅周辺整備との関係も重大です。もともと中央図書館も市駅周辺にという構想があったにも関わらず、寄付の話を受けて、現在の場所に設置されたという経過があります。しかも、市民会館にあった図書館も廃止されたことにより市駅周辺への人の流れは減少し、周辺をさびれさせる一つの要因となりました。このままでは同じような失敗を繰り返すのではないかと危惧します。こうした点からも急いで今、結論を下すべきではなく、市民的議論が必要だと感じます。

 3つめは、市のイメージアップのために福祉や教育を切り捨てているという問題です。加えて、この間の行政運営から危惧する点があります。
 いまは、子育て支援の充実と超高齢化を支える街づくりが強く求められているときです。
 4月からの消費税増税で、市民の皆さんはどうやって暮らしの節約をはかろうか、どうやって税金を払おうかと努力されています。にもかかわらず、新年度予算では暮らしを応援する特段の予算も示されていません。しかも9000万円のコストカットのため予定されていた中学校給食の米飯施設建設を断念したり、中核市となりながら、養護老人ホームも児童養護施設も母子支援施設も整備せず全て他市に頼るのです。養護老人ホームにいたっては、元々あった菊花寮を約1億の運営費負担が重いと非情にも廃止したのも記憶に新しいところです。なのに美術館はイメージアップにつながるとして引き受ける。こうした対応は到底納得できません。

 4つめは、財源の作り方です。
 市長が掲げた公約施策である少人数学級、老朽児童会室の改修さえ実現できない状況のなか、年間7000万円の運営費が求められる美術館運営の財源をどうするのか。図書館も含めた指定管理の導入など行革の推進によりで財源を生み出すとの説明は極めて問題です。図書館への指定管理導入については社会教育委員にも意見をうかがっていません。市民にも様々な意見があるのにこれを無視し、財源確保策に含めて示すなど許されるものではありません。

 5つめに、7000万の運営費で事足りるのかという点です。
 この点も極めて不透明です。総務委員会の議論でも美術品の収集についてご指摘もありましたが、美術館として本来の役割を発揮しようと思えば、こうした予算や体制で良いのか、はなはだ疑問です。しかも指定管理による運営コストの縮減で、すぐれた学芸員の確保がそれで出来るのか、安定した美術館運営が出来るのか心配です。
 協定の締結により30年間は必ず美術館として運営すると約束されておりますが、一度開設した美術館を閉じるというのは本当に情けない話です。守口市では日本の現代南画の唯一の拠点であった現代南画美術館が昨年末に廃止されましたが、廃止という事態は本来あってはならないもので、運営を担うならそれだけの覚悟が必要です。 誰もが訪れたいと思う素敵な美術館となるためには美術館の建物自身が魅力的なものとなることも重要ですが、コレクションも大事です。寄贈いただく作品の歴史的、美術史的価値が専門的にも客観的にも十分な価値があると判定されるものなのかどうか。この点は専門の視点からの判断を示して説明して頂く必要があります。市民みんなで価値あるものを大切にしようという意識の醸成がされなければなりません。鑑定の問題は多く指摘がありましたが、こうした点からも大切な問題です。

 枚方市は美術にゆかりが深く、美術を愛する多くの市民がおられます。「文化はこころの福祉」だとも教えていただきました。自治体の使命は住民福祉の増進ですが、文化は住民の暮らしと生活をより豊かにするものです。市民的な議論の中で知恵を絞って運営して行こうということならば多いに賛成ですが、先程述べたように、現在の枚方市政は肝心な福祉や教育まで切り捨て、市民への説明、市民意見を大切する努力が重ねられていません。
 残念ながら、今の枚方市にその運営を担う力があるとは思えず、寄付者の方には大変申し訳ありませんが、本議案には賛成できないと申し上げ討論と致します。

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