12月定例議会
12月議会は7日から21日まで開催されました。初日(7日)には、24億4710万2千円の一般会計補正予算、枚方市児童福祉条例の一部改正(市立小倉保育所廃止議案)、枚方市付属機関条例の一部改正(子育て支援拠点事業などの委託先選定)、枚方市立火葬場条例の一部改正、枚方市暴力団排除条例の制定、下水道条例及び水道条例の一部改正(下水道料金の引き上げ)等が提案、審議されました。
議案に対する議員団の質疑内容、賛否は次のとおりです。
○総額24億4700万円の一般会計補正予算に反対
一般会計補正予算のうち半分近くの10億円が基金に積み立てられており、平成23年度末の財政調整基金は56億円にもなります。
石村議員が質疑にたち「8月の大雨で多くの地域が浸水にあい、多額の費用をかけて、自宅や店舗、車の修理などを行っている。基金へ積み立てる余裕があるのならもっと浸水対策に配分を増やすべきだ」と正しましたが、 財政部長は「今回の補正の基金は新病院の建設や健康保険特別会計への繰り出し等に積み立てを行うもので将来を見据えた健全な財政運営を維持するための取り組みである」と答弁。
市は一定の浸水対策費の計上をしていますが、被害の状況からしてもまだまだ足りないというのが現状です。基金積み増し分の一部を活用してでも市の責任ははたすべきと議員団は主張しました。
また、債務負担行為として、コンビニ等で証明書を自動交付するための業務委託料が計上されている件では「どこにどのような委託をするのか、またコンビニ交付は便利だが個人情報の一元化につながる危険性がある。市民情報がもれないとも限らない。情報セキュリテイについて対策が講じられているのか」と質問。
市民安全部長は「総務省が所管する財団法人地方自治情報センターと業務委託を結ぶ。コンビニ交付については、証明書に高度な改ざん防止対策や、専用回線によるデーターの暗号化が行われておりセキュリテイは守られている」と答えました。
枚方市は、これまで住基カードの普及をすすめてきていますが、現在の発行はわずか4%であり交付枚数がコンビニ発行で増えるとは考えにくいものがあります。プライバシー保護の観点からも問題はあるとして、本補正予算に反対しました。
○市立小倉保育所廃止議案に反対
市立小倉保育所の廃止・民営化議案に対し、広瀬議員が質疑、反対討論を行いました。討論の要旨は以下のとおりです。
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反対の理由の第1は、子どもたち、保護者に少なからぬ影響を与えるからである。子どもの育ちや親の暮らしを大切に考えるならば、廃止・民営化はすべきではない。
第2は、公立保育所は、自治体が児童福祉法第24条による保育実施義務を果たすために必要な施設であり廃止は公的責任の後退だ。
民営化に向け「保育水準」を保障する職員配置基準まで改悪してきたことは言語道断だ。
第3は、保育の市場化を促進する点である。公立保育所を民間園におきかえ定員増をはかるだけでは、現在の保育ニーズに対応できないとわかりながらうつべき手を打たないことは、新システムを前に企業保育に道を開くものだ。
3園目の民営化を推進する本条例改正には断固反対する。
○サプリ村野地域子育て支援拠点センター・
ファミリーサポートセンター委託先選定審議会設置に反対
平成25年にリニューアルオープンされるサプリ村野の「地域子育て支援拠点事業とファミリーサポートセンター事業」を委託運営するための選定審議会設置条例が提案され、つつみ議員が質疑と反対討論を行いました。
市は運営委託によって、さらに質の高い市民サービスにつなげると説明していますが、「審査会で運営法人の審査を行うが、行政の役割や責任についてどう考えているのか」との質問に対して、担当部長は「行政が委託事業の内容のチェック・事業実施の確認を行う」と答弁。
議員団は「地域における子育て支援は、地域と行政が連携して行うべきでありそのためにも直営で行うべきところは直営で行う姿勢が必要。運営委託では、行政の責任を果たしていない」として議案に反対しました。
○暴力団排除条例に意見を付して賛成
広瀬議員が質疑を行いました。
「暴力で市民や民間会社、行政を圧迫し、威圧し、不当な利益を得て社会全体に大きな害悪を与えていることを考えると、暴力団排除と弱体化、壊滅への道を確実に進めていくことが大切」と指摘、一方で「暴力団と関係のない事業者や住民が自由や権利を侵されることがないよう慎重な手続が必要。だれもが暴力団を恐れず、金を出さない、利用しない道をとることを励ますように運用すると同時に、市民が矢面にされ、危険にさらされることのないよう」求めて賛成しました。
○下水道条例及び水道条例の一部改正について反対
下水道料金の10%引き上げ、水道料金の5%引き下げで合算で上下水道料金を5%引き上げる議案が提案され、建設常任委員会に付託審議となりました。
議員団からは委員が出ていないために石村議員が員外委員として出席、質疑を行いました。議会最終日に採択が行われ、反対討論を行いました。
反対理由は以下のとおりです。
「@そもそも上下水道ビジョンは2013年4月に審議予定なのに、料金改定だけ先取りして提案することは手続き上も問題がある。A「汚水私費」の考えのもと下水道建設時の借金返済や維持補修を使用量でまかなうのであれば今後も負担増が予想される。B一般会計を繰り入れ、減免制度の充実を図るべきと主張したが受け入れられなかった。C基本料金すえおきや地下水くみ上げ事業者に協力金を働きかけるなど負担増を回避する努力が足りない」
○意見書「生活保護基準の引き下げに反対する意見書」を
提出しましたが、民主・自民・公明・みんなの会などの
反対で採択されませんでした。
12月議会では、つつみ・広瀬議員が一般質問を行いました。
主な内容は以下のとおりです。
○つつみ議員の一般質問
・すぎの木園のリニューアル、具体的計画を示せ
児童発達センター「すぎの木園」は、定員40名で運営をしていますが、現在、通所希望者で入所できていない児童は18名になります。
「リニューアルも含め施設機能の充実、必要規模について検討を進めると聞いているが、具体的な検討は始まっているのか」と質問。
担当部長は「施設のリニューアルについては、必要規模も含め引き続き検討を進める」と答弁。再度市長に計画の必要性を問いましたが、かわって答弁した副市長は「施設のリニューアルについて、施設機能の充実、必要規模について検討を行う」という答弁にとどまり、具体的な計画については示しませんでした。
「療育を受けさせたいと考える保護者にとって、次のステップの場である『すぎの木園』や『保育所』が定員いっぱいで入所できないというのは大変つらい。発達に弱さのある子どもにとっては、必要な時に必要な支援を行うことが大切。早急に定員増の検討を行え」と強く要望しました。
・景観の保全と安心・安全の公園管理を
「香里ケ丘C地区は、草が伸び歩道が歩きにくいなどの声が寄せられている。最近やっと防犯灯の復旧や更地の草刈りが実施されたが、防犯面・景観面において日常的な管理が必要」と市の考えを問いました。
担当部長は「街の良好な景観を損なうことなく、適正な維持管理に努めるようUR都市機構に申し入れを行う」と答弁。
・身近な災害時の避難所設置を
多くの床上浸水が発生した8月の大雨の際、公的な避難所まで遠く、避難を断念したという声があったことを受けて、「一時的な避難所として活用できる施設の管理者と住民との間に入りコーディネートすることができないか」と市の考えを質問。
担当部長から「集会所や企業の施設を一時的な避難所として定めておくことが重要。施設管理者への連絡の補助やアドバイスには積極的に応じる」と答弁がありました。
○広瀬議員の一般質問
・税と社会保障の一体改革から市民守れ
解散直前の国会で公的年金やひとり親家庭・障がい児に係る手当の改悪が実施されたことを受け、どれだけの影響があるのか質しました。影響額は、2011年度から比べると国民年金は、2万2500円(年額)も減少します。
年金が減らされる中で70才から75才までの医療費窓口負担を1割から2割に引き上げようとしていることについて枚方市長として反対すべきと求めました。
また、社会保障改革推進法の最大の目的は、公費削減にあり、憲法25条を棚上げし、小泉構造改革以上の激痛を国民にもたらしかねないとして、竹内市長に対し暮らしを守る努力を求めました。
これに対し市長は、一人一人が健康に生き生き暮らせる街の実現が市政運営の基本と述べながらも、具体の対応については動向を見守ると消極的な姿勢に終始しました。
・教師と生徒との信頼関係ゆがめる授業アンケートは実施すべきでない
大阪府立学校条例に基づき、教職員の評価・育成システムを来年度から改定するため、小学校では保護者、中学校では保護者と生徒を対象に授業評価アンケートを試行実施しました。
結果、明らかになった課題は何かと問いました。
学校教育部長は事務負担が大きく、業務に支障が生じることや、保護者から授業を見ていないのに評価していいのかなどの声があげられていることを紹介し、府教委に改善を求めると答弁。
人事評価に結び付けるアンケートを実施することは教育により困難をもたらしかねず、実施すべきではない、これをすすめる大阪府の教育条例はやはり問題だと批判。
・保育所待機児解消のめどなし、急増するニーズに応える対策を
枚方市の保育所待機児童は4年連続で4月当初にも待機が生じ、11月時点で463人に達しています。
市は国に「待機児ゼロ計画」を提出し、25年度の待機解消に向けて90名の定員増を実施する予定です。24年度の取り組みと合わせて170人の対策に取り組んでいますが、今後の予定で示されているものは保育所民営化後に定員増をする園のため中部エリアに集中しています。
一方、最も待機が深刻な南部(164人)は20名の対策しかなく、今後の予定もありません。
これでは待機が解消されないし、必要な地域に対策がとれていないと指摘し、緊急事態だと認識し対策を講じるよう強く求めました。
また、子育て世代の経済的負担感は大きく、「生活が苦しい」と答える人が約7割(国民生活基礎調査)となっています。子育て世代を応援するため、幼稚園保育料への支援、妊産婦健診やこども医療助成の充実が必要と求めました。
学校教育部長は「幼稚園保育料への支援金を増額することは困難だが、支給時期を早めるよう検討を行っている」、健康部長は、妊産婦健診については国の基準を見極めて検討する、医療助成については4月に拡大した入院助成の効果を検証すると答えました。
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