■「今後の枚方市の支援教育についての緊急要望書」を提出しました。(2022.07.19)
教育委員会が、今後の支援教育について来年度から運営方法を変更すると保護者に通知したことで、保護者や関係者から疑問や抗議の声が出されていることは、先の6月定例月議会での議員の一般質問などで明らかにしてきましたが、改めて議員団として市長と教育委員会に対して「緊急の要望」を提出しました。 以下、要望の内容です。
「今後の枚方市の支援教育についての緊急要望」
枚方市教育委員会は、令和4年4月27日付の文部科学省からの通知(特別支援学級及び通級による指導通知についての適切な運用について)を受け、「より質の高い支援教育の充実が図られる」と判断し、通知にそって令和5年度から障害の状況に応じて学びの場を選びなおすようにと5月16日に保護者向けにお知らせ文を出しました。 令和5年度から、支援学級における授業時数を1日1時間以上としていた現在の基準をあらため、一日の大半、週の授業時数の半分以上に変更するとの通知内容は保護者に大きな不安と混乱を与えました。「通常学級で過ごす時間が短くなりクラスの友達と切り離される」、「支援学級担任による授業の入り込み支援などが得られなくなるのではないか」など党議員団も含め各方面への相談、問い合わせが相次ぎました。 党議員団からも保護者と共に課題や問題点を指摘し方針の撤回、拙速な実施を行わないようにと求めてきたところです。その後6月には通級指導教室の全校設置等を検討する旨が記されたお知らせ文が再度出され、保護者向けの説明会が全体説明会という形で実施されました。第1回説明会を6月28日の夜7時から、第2回を7月2日午後2時から開催し、説明動画配信も含め多くが視聴するとともに会場にも沢山の保護者が参加されました。 会場からは多くの質問と意見が出され、2回目の説明会は6時間を超えるなど、教育委員会としても保護者の質問に出来るだけ答える努力をされましたが、しかし十分な答えになっていない点もあり、保護者の不安が払しょくされたわけではありません。 説明会での様々な意見や、疑問を受けて、あらためて以下の点を要望します。
要望1 拙速に実施しないこと。 説明会において反対が多くても文科省の通知に基づい て進めていくという説明がされたが、保護者の理解が得られなくても、進めるということは認められない。 特に、支援が必要な児童、生徒は大きな変化に対応できないことが保護者からも指摘されており、こうしたことも踏まえ次年度からの全面実施は見送ること。
要望2 子どもに不利益を生じさせないこと…これまで受けられていた支援が後退することのないよう必要な支援を継続すること 教育委員会は、文部科学省の通知を受け、児童、生徒一人一人の不利益になるようなことがあってはならないと、通知に沿った対応を早期に進めるべきとの考えを示されてきました。しかし、説明会では「今後の枚方市の支援教育が実施されれば、子どもが不利益になる」と多くの意見が出されていました。 保護者や子どもの意に反して、従来の学びの場が奪われたり、受けられて いた支援や必要とされる支援が得られなくなることのないよう保障すること。 今年度については、個別の指導計画を策定するなかで十分に子どもの教育ニーズ、保護者の思いも踏まえ、今後の支援教育や学びの場について時間的制約を抜きにした場合の願いと、制約を課されたなかでどう判断をするのか、通知の時間基準にとらわれないニーズ把握に取り組むこと。
要望3 枚方市教育委員会として「今後の支援教育」について市民意見を踏まえて方針を策定すること 教育長は「本市が大切にしてきた、「ともに学び、ともに育つ」という理念や、これまでの取組に誤りはないと考えているが、文部科学省の指摘を踏まえて、より質の高い令和の時代にふさわしい枚方市の支援教育に見直しを行うことで、全ての児童、生徒の個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指す。」と述べられています。これまでの理念は変わらないとのことですが、保護者からはインクルーシブ教育の後退ではないかとの指摘がされていました。 文科省の通知に従い、十分な検討もなく市教委の方針とするのではなく、インクルーシブ教育を進めてきた自治体として、今後の支援教育に関する方針を市民意見も踏まえ策定すること。 保護者、教職員も含めてインクルーシブ教育について学ぶ機会を設けること。
要望4 従来の支援教育についての課題を明らかにす るとともに、充実が望まれる点は早期に改善をはかること 教育長は「特別支援学級において特別の教育課程を編成しているにもかかわらず、自立活動の時間が設けられていないことや、個々の児童、生徒の状況を踏まえずに、特別支援学級では自立活動に加えて、算数、あるいは数学や国語の指導のみを行い、それ以外は通常の学級で学ぶといった、機械的かつ画一的な教育課程の編成が行われている等、課題があると考えている」と述べられました。これまでの教育について学校現場との認識が一致していないことは明らかです。 多くの保護者から現状の支援教育について評価と共に問題点も出されました。出された問題点と今後の対応について教育委員会として明らかにすること。課題の検討や今後の充実にあたっては、学校現場の意見を十分に反映させること。また、施設面も含めて学校ごとの状況についても、問題点と課題、その改善策について明らかにすること。
要望5 専用の相談窓口の設置を…早急に学校や支援教育担任と認識を一致させること すでに学校では個人懇談が始まっています。説明会では、学校における説明と教育委員会の説明が食い違っているとの指摘がありました。教育委員会は「各学校で就学相談をしたうえで」との説明を繰り返しされていましたが、学校現場と教育委員会が「今後の支援教育」について同じ認識になっていないことは明らかです。説明会では通級指導教室設置について、2日目に資料が追加された点もあります。教育委員会と対応する教職員の認識を一致させ、正確な情報提供に努めること。 教育員会でさえ、問い合わせをした人によって回答が違うことも指摘されています。教育委員会に専用の相談窓口を設置するとともに、体制を補強して対応にあたること。
要望6 中学進学者、小学校入学者等への充分な情報提供を行うこと 説明会の中では中学校に進学する保護者から高校進学を見据えてどう対応すべきか評定の問題も含めて質問が重ねてありました。進学先の決定は、重大です。進路担当者、各教科担任も含め学校全体として共通の認識をはかるとともに、該当する保護者へのより丁寧な説明とよりわかりやすい説明資料の提供を行うこと。 また、小学校入学予定者については説明会の参加対象にもなりませんでした。就学前の保護者とともに就学前施設や庁内でも関係する部署に対して必要な情報提供、説明、相談を行うとともに、学校、教育委員会の相談窓口を周知すること。
要望7 通級指導教室について、追加説明を行うこと 通級指導教室の利用について教科補充はどう行うのかとの問いが繰り返しありました。従来の支援学級在籍児がこれまでと同じように1日1時間の利用をした場合に同じ教科ばかりが抜けないように時間割をつくることが可能なのか。教科学習の補充は具体的にどうするのか、不安が残る説明となりました。 また、通級を2クラス以上設置とする場合の基準についても不明確です。説明会に参加されていない方も含めて、通級指導教室の対象となる児童、生徒、保護者対して、どのような教室なのか、具体にどのような支援が可能なのか、今までとどう違うのかなど説明を補充すること。
要望8 学校現場の意見、実情を十分に反映し、支援教育の充実に向けて職員体制の充実、専門人材の育成に努めること 通級指導教室には専門性の高い職員の確保、育成が不可欠です。現在、専門指導が出来る教職員数はどの程度いるのか明らかにすること。通級指導教室は巡回指導も可能となっているが、必ず専任配置する考えなのか示すこと。 特別教育支援員は正規職員として確保し、専門人材として育成すること。市独自採用とする職員の人材育成計画を示し、計画的採用に努めること。 「児童、生徒一人一人の状況に応じた個別最適な学びの場」を確保するために、必要となる支援学級数と通級支援教室数の見込み、必要な予算と人員を示すこと。
要望9 「ダブルカウント」を廃止しないこと 週の半分の時間を仮に支援学級で過ごすとしても半分の時間は通常学級で過ごすことになり、ダブルカウントをやめる理由にはなりません。説明会でも意見がありましたが、これまでの理念を変えないのであれば市独自の「ダブルカウント」は廃止しないこと。
要望10 教育委員会での協議内容を明らかにすること 教育委員会定例会などに諮ってきたのかとの質問に対し、「5月の教育委員会定例会におきまして、教育長報告としまして、この方針についての説明を行いました」と答えられましたが、7月2日の説明会では「教育委員会で協議した」と説明されました。 公式に協議をしたのかあらためて説明を求めます。また、協議をされたのであればその内容を明らかにし、ホームページで公表すること。 以上 |
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